屋内型を含めて、設置場所の許可などはいらず、素早く、簡単に無線LANスポットを設置できるのが特徴で、米国ではスタジアムなどのイベント会場を始め、さまざまな場所に設置されているそうだ。ニューヨーク州など3州では、CATV事業者がほかの公衆無線LAN事業者と乗り入れし、無料サービスとして提供。高い解約率を10%以上減少させることができたという。
日本でも、CATV事業者が設置し、事業者間での乗り入れをすることで新しいビジネスモデルになる、と加藤氏は指摘。携帯キャリアに対してその回線を提供することで新しい収益源になるとしている。
携帯キャリアが提供する公衆無線LANサービスは、屋内の一部スポットのみの提供だが、Cable Wi-Fiでは屋外の広いエリアもスポットかでき、エリアの拡大も容易だ。利用者の大きいイベント会場などで、臨時基地局の設置よりも簡単に導入できる点もアピールする。
現時点では国内では展開されていないが、すでに「今すぐテストしたい」という声があるそうだ。加藤氏は、「タブレット、スマートフォンが爆発的に拡大しており、まさに旬なタイミング」と話し、「タイミングを逸しないように展開するのが大命題」と強調した。
携帯キャリアのKDDIは、J:COMのようなCATV事業者も有しており、同社では「期待したい」とコメント。キャリアのオフロード対策として有効な手段として強調している。
端末を選ばず、最適な画質の映像を配信
同社の現在のビジネスでは、STBやCATV事業者向けの製品など「デジタルホームの領域で長年の実績があり、業界のリーダー」(同)であり、家庭内のモバイルデバイスも扱っていることから、多種多様な技術、製品を抱えている。
その中で現在力を入れているホーム事業として、「MEDIOS」が紹介された。MEDIOSは、コンテンツ配信のソリューションで、米国ではすでに大手のコンテンツ配信業者にも採用されている。
コンテンツとデバイスが多様化している現状で、コンテンツの保護技術も多様化している。こうしたDRMやフォーマットの違いを吸収し、簡素化するソリューションがMEDIOSとなる。コンテンツ配信としてはMicrosoft Smooth Streaming、Apple HLS(HTTP Live Streaming)、Google Adaptive Streaming、Adobe HTTP Dynamic Streamingといった手法があり、PlayReady、FairplayなどのDRM方式もさまざま。これを受信するデバイスも、PC、スマートフォン、タブレット、テレビと幅広く、こうした違いを吸収するのがMEDIOSだ。
コンテンツ配信にはHLSを用い、DMRMにはSecureMedia Encryptonite ONE DRM HLS+を採用。回線の帯域に応じてコンテンツの品質を動的に変更しながら、最適なビットレートで配信する仕組みも備えており、さまざまなデバイスに適した形で配信できる。ハリウッドのメジャースタジオや米テレビ局が採用しており、各種端末向けの映像配信を行っている。さらに米国のように350チャンネルもある場合、視聴者が見たい番組を探せるようなパーソナライズの仕組みも提供するという。
デジタルホームとの組み合わせでは、家の鍵やエアコン、Webカメラ、照明などと連携し、タブレット端末で外出先からでも室内の監視・映像の録画、施錠、得コンの操作などが可能な「4Home」のようなソリューションも用意。スマートメーターを導入することで家庭の電力使用量も表示可能で、「スマートメーターでなくても、それに類するセンサーがあれば電力量を表示できる」(同社)という。