トレンドマイクロは25日、コンシューマ戦略記者発表会において同社のコンシューマ向けソフト「ウイルスバスター2011クラウド」(以下、ウイルスバスター2012と略記)の新バージョンと、新たにスマートフォン向けのセキュリティ対策ソフトとなる「ウイルスバスターモバイルfor Android」(以下、ウイルスバスターモバイルと略記)を発表した。
今年は、ウイルスバスターが発売されてから20年目にあたる。会場入口では、その20年の歴史を概観できる展示なども設置された(図1)。
時代とともに、その脅威も変わってきていることがわかる。同時に、現時点での脅威となるSNSを狙う脅威(図2)やAndroid端末の脅威の具体例などが展示されていた。
トレンドマイクロのコンシューマ戦略
最初に登壇したのは、同社取締役エクゼクティブバイスプレジテント日本地域担当の大三川彰彦氏である。
大三川氏は、最初に「73」という数字を披露した。
この意味であるが、冒頭でふれた20年前の1991年に出荷されたウイルスバスターの箱に書かれたウイルスの数とのことだ。当時は、脅威となるウイルスが73個しか存在しなかったのである。それが、今では、ほぼ1秒に1つの割合で新種や亜種のウイルスが作成されている。これまでも語り尽くされたことかもしれないが、この2~3年で、ウイルスなどの脅威は、桁違いに増大しているのである。そして、環境の変化として、次をあげた。
- PCのみならず、モバイル端末、ゲーム機やTVなどからのネットアクセスの増加
- 摘発されたサイバー犯罪の検挙数は、この10年で7.6倍以上
- mixiやtwitterなどのSNSサービスを約2人に1人が利用
冒頭にあったように、それらが攻撃対象となっているのである。大三川氏は、このような環境で、2方向の対策が必要とする。
まずは、ウイルスや不正なWebなどの外からの攻撃である。そして、もう1つがデータの保護である。これまでもPC内のデータをいかに守るかは重要なテーマであった。しかし、Android端末に代表されるスマートフォンなどは、盗難や紛失によって、重大な情報流出の原因となりかねない要素を持つ。多種多様なデバイスの保護、クラウド上のアプリケーションやデータ、そして個人情報などのデータ保護をトータルに行う必要がある。トレンドマイクロでは、図8のようにさまざまなデバイスや環境にセキュリティ製品を提供し、また、各種サービスを展開していくとのことである。
トレンドマイクロでは、かねてよりユーザーサポートを提供してきたが、Android端末に向けてもサービスを提供していくとのことである。
SNSプロテクションが加わったウイルスバスター2012クラウド
次に、新バージョンとなるウイルスバスター2012の紹介が、マーケティング本部の吉井直子氏によって行われた。
2012の新機能にまず注目したのは、SNSプロテクションであろう。これまでもウイルスバスターでは、レピュテーション技術を使い、検索結果やメッセンジャーなどに含まれる危険なURLを事前に評価し、わかりやすく色で表示し注意喚起を行ってきた。実際に、twitter上のURLを評価したものが、図10である。
緑が安全で、赤が危険なサイトとなる。これまで、ウイルスバスターを使ってきた方には、違和感がないであろう。実際に、危険なURLをクリックすると、図11のようにブロックされる。
発表では、ウイルスバスターガールの山本美月氏とともにデモが行われた。原因分析レポートも新機能の1つである。強化された不正変更の監視機能で検出されたファイルが、どのように侵入・作成されたかの経路をグラフィカルに表示する(図12)。
このほか、強化された機能は、
- ファイアウォールチューナー
- ペアレンタルコントロール
- ルートキット対策
- 偽セキュリティソフト対策
などがある。また、快適への追求もぬかりなく行われている。旧バージョンと比較して、ビジー時のメモリ消費量が42%減少、フルスキャン時間が48%短縮された。この点については、機会あればまた取り上げてみたい。製品ラインナップであるが、すでにダウンロード版は、トレンドマイクロのWebサイトで販売開始されている。パッケージ版は、9月2日からの店頭販売の予定である。トレンドマイクロのオンラインショップでは、1年版のパッケージ版が5,980円、ダウンロード版が4,980円(いずれも税込)となっている。ダウンロード版は同社Webサイトなどにおいて、既に販売されている。