料金プランを比較

次に、各高速通信サービスの料金プランを比較してみよう。定額制と段階制の料金プランについて比較し、料金プランが複数ある場合は、最も安いプランを選出した。各サービスの料金プランは以下のようになる。

ポイント

・ 定額制の最安プランはWiMAX・ULTRA SPEED・EMOBILE G4とも3,880円
・ ただし、ULTRA SPEEDとEMOBILE G4は期間限定キャンペーン適用時、WiMAXはずっと3,880円
・ Xiは定額制のプランなし、通常料金ではXiは上限料金がない
・ Xi、ULTRA SPEED、EMOBILE G4の最安プランは2年契約だが、WiMAXは1年契約で3,880円/月
・利用制限がないのはWiMAXのみ
・契約解除料も確認すべき

定額制では、キャンペーンなどを適用した場合、各サービスとも最安プランは月3,880円となっている。なお、NTTドコモのXiには現在のところ定額制プランはないが、期間限定キャンペーンで申し込みをした日から2012年4月30日までの月額利用料の上限が4,935円となる。

ULTRA SPEEDの「データし放題フラット for ULTRA SPEED」とEMOBILE G4の「EMOBILE G4 データプラン にねんS」は、期間限定キャンペーン適用時の料金となっている。「データし放題フラット for ULTRA SPEED」は、2011年11月30日までに加入すると月3,880円となるが、以降に加入した場合、通常料金の月4,980円に上がる。また、「EMOBILE G4 データプラン にねんS」は、2011年9月30日までに契約すると、最大25カ月間の料金が3,880円となるが、以降は通常料金の5,580円となるため注意が必要だ。両プランとも2年契約となっていて、途中解約する場合には最大で約2万円程度の契約解除料が生じる。

WiMAXの定額使い放題プラン「UQ Flat 年間パスポート」は、キャンペーンなしの通常料金となっていて、加入日に関係なくずっと月3,880円で使えるのが特長だ。契約期間は1年(1年未満で解約すると9,975円、2年目以降は5,250円となる)。また、ISPや家電量販店などがWiMAXの回線を使用して提供しているMVNOでは、キャッシュバックキャンペーンなどにより、月3,880円よりさらに安い料金でWiMAXを利用することも可能だ(ただし、契約条件が異なる場合がある)。

段階制の料金プランでは、月の上限料金がXiの「Xiデータプランにねん」で4,935円。ただし、「Xiデータプランにねん」は、2012年4月30日までの料金となっていて、その後は通信量が5GB以下なら上限6,510円となる。通信量が5GBを超えると2GBごとに2,625円加算され、料金に上限はないのでヘビーユーザーなどは注意が必要となる。

「データし放題 for ULTRA SPEED」は、2011年11月30日までに加入すると月の上限料金が4,980円となるが、以降に加入した場合、通常料金の月5,460円となる。EMOBILE G4の「EMOBILE G4 スーパーライトデータプラン にねんS」は、月の上限料金が5,980円となっている。「Xiデータプランにねん」と「データし放題 for ULTRA SPEED」、「EMOBILE G4 スーパーライトデータプラン にねんS」は2年契約となっていて、途中解約する場合には契約解除料が必要(プラン変更の場合には契約解除料が発生しない場合がある)。

Wi-Fiルーター端末を比較

続いて、各高速通信サービスのWi-Fiルーター端末を比較してみよう。WiMAXは最新モデルの中からコンパクトなモバイルルーターの「URoad-8000」、Xiは「L-09C」、ULTRA SPEEDは「ULTRA WiFi SoftBank 007Z」(007Z)、EMOBILE G4は「Pocket WiFi GP02」(GP02)を比較に用いた。

各端末のスペックは以下のようになっている。

ポイント

・ URoad-8000・007Zは100g以下、GP02は約110g
・ L-09Cは他と比べて大きく重量約156g
・ バッテリー使用時間はURoad-8000が約9時間と最長
・ 同時接続台数はURoad-8000・L-09C ・007Zが10台、GP02が5台

サイズ、重量では、URoad-8000、007Z、GP02がポケットサイズのコンパクトな大きさで、重量も100g前後と軽量だ(URoad-8000と007Zは100gを切っている)。L-09Cのみ、スマートフォン程度の大きさで、重量も約156gと他の端末の1.5倍程度となっている。URoad-8000の厚さがやや大きめの数字になっているが、実際に端末を手にした印象では、厚く感じるということはなかった。

バッテリーの使用時間は、URoad-8000が約9時間とひときわ長くなっている。他はL-09Cが約6時間、007Zが約4時間、GP02が約4.5時間だ。同時接続台数は、URoad-8000、L-09C、007Zが最大10台、GP02が最大5台となっている。その他の機能として、007ZとGP02はMicroSD・SDHCカードのスロットを備えており、カードを装着してUSBメモリまたはNASとして利用できる。

移動中や外出先など屋外でモバイルWi-Fiルーターを利用する際に気になるのがバッテリーの持続時間であり、URoad-8000の約9時間はかなり魅力的だ。また、WiMAXのWi-Fiルーターのラインナップは豊富で、簡単にルーターをセットして充電でき、有線LANケーブルも使えるクレードル(スタンド)がセットされた屋内・屋外共用モデルなどもあるので、自分の用途に合わせてルーターを選択できる。

エリア・料金・端末の総合評価でWiMAXがリード

サービス面、料金面、端末面で高速モバイルデータ通信の各サービスを比較してきた。ここまでで、おさえておきたいポイントは以下の通りだ。

まとめ

・ 通信速度は各サービスとも下り最大40Mbps級
・Xiは一部施設内で下り最大75Mbps/上り最大25Mbpsを実現
・ 高速利用エリアがもっとも充実しているのはWiMAX
・ Xi/ULTRA SPEED/EMOBILE G4はエリア外では既存の3G回線が利用可能
・利用制限がないのはWiMAXのみ(※)
(※ Xiは直近3日間の通信量が約300万パケット(当日含む)、ULTRA SPEEDは前々月の通信量が3,000万パケット、EMOBILE G4は24時間ごとの通信料が300万パケットを超え た場合に利用制限がかかる)
・ キャンペーン適用で月額料金が安くなっている場合には内容を要確認
・ WiMAXは長時間バッテリーのWi-Fiルーターなど端末も充実している

このようにそれぞれ一長一短ある高速通信サービス。自身の行動範囲や支払える通信費、想定される利用シーンなどを検討し、最適なサービスを選択するのがよいだろう。

筆者としては、全国で下り最大40Mbpsの高速通信を使える利用エリアや、速度制限がなくメイン回線としても充分使用できる点、キャンペーンに関係なくずっと月3,880円で使い放題という料金プラン、端末ラインナップの豊富さ――これらの優位点を持ったWiMAXが、他のサービスを大きくリードしているように感じた。

高速モバイルデータ通信は、自宅のメイン回線としての利用も検討できるといえる。今後も、各サービスの利用エリアや使用端末の充実が期待される。

なお後編では、本稿で紹介した4つのWi-Fiルーターを使って、実際に通信速度の測定を行い、各サービスの通信速度と利用エリアの充実について考察している