ZuneはAppleのiPodに対抗する携帯音楽プレイヤーとして2006年から北米で発売された。Xbox 360やWindows Phone 7でも使われているXNA Frameworkに対応しており、Zuneで動作するゲームを開発することも可能だった。ハードウェアとしてのZuneは商業的な成功を収めることなくWindows Phone 7の誕生によって終焉を迎えたが、今後はコンテンツ・プラットフォームとしてのZuneソフトウェアに注力していくとアナウンスされている。
Zuneは音楽や動画の管理に専用のZuneソフトウェアを使用する。これはiPodやiPhoneがコンテンツの管理にiTunesを使用するのと同じモデルだ。国外では、すでにZuneソフトウェアで音楽やビデオをダウンロード販売するストア「Zune Marketplace」が用意されているが、日本ではXbox 360で限定的に映画の販売が行われている程度だ。
Windows Phone 7とWindows PCとの接続にもZuneソフトウェアが用いられ、音楽や動画などのコンテンツの同期のほかに、アプリケーションの管理やOSのアップデートなどもZuneソフトウェアを経由する。Windows Phone 7の発売に合わせてZuneソフトウェアの日本語版も提供される予定だ。つまり、iPhoneと同様にWindows Phone 7もまた、PCを持っていることが前提のスマートフォンということになる。
このように、Windows Phone 7の利用にはZuneソフトウェアが必須であり、携帯音楽プレイヤーであるZuneの血を色濃く受け継いでいる。
Mac OS と Windows Phone 7
Mac OSではZuneソフトウェアは提供されていないが、公式で「Windows Phone 7 Connector」というアプリケーションが提供されている。iTunesライブラリと同期が可能なので、実はiPodやiPhoneユーザーにとっては、Windows Phone 7もMac OSで管理したほうが便利かもしれない。Windows Phone 7を好き好んで使うMacユーザーがどれほどいるのか興味深いところである。こちらも現在は英語版のみで、いつ日本語版が提供されるかどうかは不明だ。
スマートフォン戦国時代へ
AppleのiPhone、GoogleのAndroid、そしてMicrosoftのWindows Phone 7と、主要IT企業3社によるスマートフォンがついに出そろった。他にもIntelが主導で開発を進めている「MeeGo」など、スマートフォン市場を狙う野心的なモバイル向けOSも存在しているが、3強を前に他のOSによるスマートフォンがシェアを獲得できる余地がある状況ではない。
Windows Phone 7はiPhoneやAndroidの良い点を吸収しつつ、長年Windows PCで培ってきた基礎技術を応用した(技術的にもビジネス的にも)バランスの良い製品になっている。すぐにiPhoneやAndroidのシェアを奪うのは難しいかもしれないが、他のスマートフォンに不満を抱いているユーザーの受け皿となる可能性は高い。