開発者コミュニティの拡大にも注力
スマートフォンの大きな特徴であるアプリにも注力。「スマートフォンではいいアプリがたくさんあるかが大きなファクター」(コミニュケーションズ パートナー統括本部エグゼクティブプロダクトマネージャ中島憲彦氏)であり、ユーザーがアプリをダウンロードするMarketplaceだけでなく、開発者がアプリを公開するための「App Hub」にも力を入れていく。Marketplaceでは、アプリの検索から購入、アプリの更新といった機能に加え、「お試し版」のダウンロード機能も搭載。これは、ユーザーがアプリを購入前に試用できる機能で、APIで実現しているため、開発者はお試し用の別バイナリを用意する必要がなく、簡単にお試し版と正式版の公開が可能。
ユーザー側にとっては、有料アプリをテストしてから購入できる安心感もあり、米国では有料アプリの購入率の高さにつながっていると分析しているそうだ。有料アプリ購入はクレジットカードで行うが、IS12T自体はキャリア決済に対応しており、KDDI側が対応すれば、携帯料金と合算してアプリを購入できるキャリア課金も利用できるようになるという。クレジットカードはマイクロソフトのLive IDと連動する形だ。
Marketplaceにはすでに2万以上のアプリが公開され、毎日150以上のアプリが増えているという。国内のアプリベンダーも、端末発表時点で30社50アプリ以上が開発表明され、それも増加しているそうで、「端末が市場に出る前に、日本語対応アプリを一定レベルにそろえていきたい」(同)考えだ。
開発者側が利用するApp Hubは、開発者として登録することでSDKなどの開発ツールのダウンロードや情報の提供、アプリの登録・公開などが利用できるようになるポータルサイトの位置づけだ。開発ツールはVisual Studio、Expression Blendなど、各種ツールが用意され、無償で利用できる。全世界ではすでに150万ダウンロードを達成しているそうだ。
アプリ配布では、有償・無償、配布地域などの指定が可能で、今回、新機能としてベータ版配布機能とプライベート配布機能の2種類の機能が追加されている。ベータ版配布機能は、アプリ公開前のマイクロソフトによる審査以前に、100ユーザー限定・90日間まで利用できるベータ版を公開できるというもの。プライベート配布機能は、審査済みのアプリを、特定のコミュニティだけに配布したい場合に使われるもので、一般のユーザーからは見つけることができず、ダウンロード方法を通知された人だけが利用可能になる。特定用途のアプリや、企業内で使うアプリなど、配布先を限定したい場合に利用できる機能だ。 Windows Phone 7向けのアプリでは、アプリのアップロード時に機械的なチェックを行い、その後第三者機関による審査を経てから公開される仕組みになっており、おおむね「3~4営業日程度、早いときは2営業日で審査が通る」(同社)くらいのスピードだという。
危険な動作がないか、非公開のAPIを使っていないかなどのチェックも行われるなど、セキュリティにも配慮しており、サンドボックスやデータ領域をアプリごとに共有しないなどの仕組みにより、基本的に安全性は確保されているという認識を示しており、少なくとも「ウイルス対策は必要ない」(同社)という考えだ。フィッシング詐欺対策やペアレンタルコントロールなど、それ以外のセキュリティ上の問題はあるため、「セキュリティ対策が不要」というわけではないが、アプリによる攻撃を防ぐ手立ては導入されている。また、仮に危険なアプリが公開されてしまった場合、ユーザー端末上にインストールされた危険なアプリを起動させないようにする仕組みも備えているそうだ。
マイクロソフトでは、従来から大小さまざまなセミナーやストリーミングによる情報提供を行ってくるなど、開発者への施策を展開してきており、「開発者コミュニティが暖まってきている」(中島氏)という。今後も日本の開発者向けにドキュメントの日本語化やパノラマUIなどのテンプレートやライブラリの提供などに注力。アプリコンテストを行って注目を集めたり、アプリのプロモーションで販促をするなど、開発者向けの施策を強化していく考えだ。