日本マイクロソフトが開催した携帯端末向けOS「Windows Phone 7」の説明会では、最新版に搭載されている日本語入力方式「カーブフリック」の開設や、アプリ配信マーケット「Marketplace」の説明も行われた。
日本語サポートにも注力
Windows Phone 7の最新バージョンであるWindows Phone 7.5(Mango)では、非常に多くの機能追加などが行われており、マルチタスキングやコピー&ペーストなどに加えて、多言語対応によって日本語をサポート。この日本語対応において、新たな日本語フォントの導入、新しい日本語入力システムの開発が行われた。
日本語入力では、スマートフォンで一般的なQWERTY入力と10キーの携帯入力をサポート。携帯入力では、「ア段を5回タッチして"お"」というトグル入力の「マルチタップ」、各キーを長押しすると上下左右に格段の文字が現れ、そちらに指をスライドさせて入力する「フラワー」、長押しをせずに上下左右で入力する「フリック」という3つの入力方法に加え、さらに「カーブフリック」という入力方法を搭載した。
これは、フリック入力で使われる上下左右の4方向に加えて、濁音、半濁音、音便などを1回で入力できるように8方向のフリックをサポートした入力方法だ。ここにいたるまでに100以上のデザインスケッチを検討したうえで選択したということで、より素早く入力できる方式だという。同社調査では、日本語入力での濁音などの入力率は20%程度ということで、その分の入力が速くなる計算だという。
単にデザインを変えただけでなく、8方向になったことで入力判定が難しくなったという。例えば右手の親指で「あ」を選択して上にスライドさせると、まっすぐ上にスライドさせたつもりでも右に曲がってしまう、といったように、左右の手、親指や人さし指などの使う手や指によって動作が異なるため、調整を繰り返した結果、「かなりスムーズに入力できるようになっている」(マイクロソフトディベロップメント オフィス開発統括部 リードプログラムマネージャ 吉田剛巌氏)そうだ。
使う指やキーの位置によってまっすぐ指を動かしているつもりでも曲がってしまうなどのクセが明らかになった |
日本語入力のトレーニングだけでなく、マイクロソフトにフリック入力のデータを提供できるアプリText Text Revolutionが日本語に対応しており、ここで収集されたデータは、今後のチューニングに役立てられる |
ほかには、入力された文字から単語を予測する「先行入力予測」機能を搭載。同社のMS-IME 2010ではユーザーの入力単語の収集機能が搭載されており、それによって年間3億語の入力履歴が送られているそうだ。それをベースに「あ」と入力されたときに変換される確率が高い単語といった具合に、入力を予測するようになっている。
次単語予測機能は、単語を確定した次に選ばれる単語を予測する機能。MS-IME 2010のデータから得られた巨大な例文データベースであるコーパスを使い、単語のつながりを計算・チューニングして、「おはよう」の次には「ございます」が選ばれやすいといった予測で次単語を表示する。さらに、入力された文を一時的に保管して、次の予測変換に生かす入力履歴予測機能も搭載。こうした予測機能は、日本語入力のために日本で開発されたが、欧米のQWERTY入力でも活用されるようになっているそうだ。