Windows Phone 7の最大の特徴はメトロ・デザインと呼ばれるコンセプトで、スタート画面には大きなアイコンが縦に並び、上下のスクロールでページが遷移し、アイコンを選択すると左右に広がるパノラマUIに変わり、横スライドでさまざまな機能にアクセスする。ホーム画面のアイコンは「ライブ・タイル」と呼ばれ、天気予報やスケジュールなどの情報を表示できるため、いちいちアプリを起動する必要もない。KDDIでは今回、この上下左右に遷移するメトロ・デザインを、フィーチャーフォンユーザーの移行にも適している、と指摘。特に「ハードキーがあればユーザーはすぐに慣れるのではないか」(KDDI)と見ており、使い勝手の良さをアピールする。
ライブ・タイルはWebサイトのお気に入りや画像、連絡先、メモなど、いろいろな機能を貼り付けて、「優先順位に従って設計できる」(同)という。樋口社長は、こうしたカスタマイズによって「だんだんと気持ちよくなってくる」とアピールする。こうしたWindows Phone 7のUIは、次期Windows OSのWindows 8にも取り込まれる計画で、今後の同社製品の統一的な考え方になっていく予定だ。
Webブラウザも強化しており、PC向けのInternet Explorer 9と同じものが搭載されており、ハードウェアアクセラレーターを搭載したことで、よりWebサイトの表示が高速で、軽快にブラウジングできる。
PCと同じIE9を搭載。ハードウェアアクセラレーターで動作も滑らか |
ブラウザだけでなく、Officeを搭載し、WordやExcel、PowerPoint、OneNoteといったファイルを閲覧、編集できる |
日本語入力は日本マイクロソフトオリジナルで、PC向けのMS-IMEのエンジンをベースに開発。独特のカーブフリックと呼ばれるUIを採用。通常のフリック入力に加え、濁点と半濁点用の小さなアイコンが表示され、それを選択することで、一度のフリックで濁点・半濁点まで入力できるのが特徴だ。
「マイクロソフトの大きな資産」(同)であるOfficeの閲覧だけでなく、作成、編集に対応した点もポイントだ。同社はこうしたOfficeのようなソフトウェア資産が豊富であり、こうした資産を「フル活用していく」(同)考え。さらに、Windows LiveやXbox Live、Bing、MSNといったWebサービスも連携し、「高い付加価値をつけていく」(同)計画だ。
Windows Phone 7搭載スマートフォンは、当初英語圏を中心に、現在まで11モデルが登場しており、35カ国・60の通信事業者が取り扱っている。iPhoneやAndroidなどと同様、独自のアプリ配信マーケット「Marketplace」も用意し、2万4,000以上のアプリが公開されているという。
ほかのマーケットに比べると数は少ないが、「7カ月で2万アプリという勢いは、これまでのスマートフォンより伸びている」(同)という。アプリ開発ツールも150万ダウンロードに達しており、「開発者の受けがよく、開発意欲が高まっている」(同)そうだ。
新バージョンとなるWindows Phone 7.5(Mango)は、マルチタスクなど500以上の機能追加、1,500以上のAPI拡張が行われており、機能強化に加えてより高機能なアプリ開発ができるようになっている。対応言語は従来の5言語から21言語に拡大。Marketplaceも18カ国から35カ国に拡大して展開される。
樋口社長は、Windows Mobileで長くモバイル事業を展開しながら、iOSやAndroidが席巻するスマートフォン市場において、「出遅れていないとはいえない状態にある」と認めつつ「これからいかようにも挽回できる」と強調。「立ち上がりには少し時間が掛かったが、できのいい、ユーザーにとってもメリットのある仕上がりになった」と述べる。
今後もマイクロソフトとして、モバイルについて「全力でコミットしていく」と強調する樋口社長。同社がこれまで作り上げてきた資産に加え、「一番の強み」(同)であるエコシステムを重視し、開発者、デバイスメーカー、キャリアとこれまで培ってきた信頼関係をベースに、「トータルとしてのバリューを提供し続けていきたい」(同)と話す。
なお、今回のIS12Tにはおサイフケータイや赤外線通信、ワンセグといった国内独自の機能は搭載されていないが、Windows Phone 7として「搭載することはできる」(同)ということで、今後、国内独自機能をサポートしたWindows Phone 7スマートフォンの登場も期待できそうだ。