1日に数百ものiPhone/iPadアプリがリリースされる裏側で、日の目を見ずに消えていくアプリの数もまた多い。その理由を探れば「企画がまとまらない」「誰に頼んだらよいのかわからない」など様々な要因が見えてくる。そうした課題を解決するサービスとしてアプリヤが提供する「APPLIYA STUDIO CONNECT」がある。アプリヤの新城健一氏にアプリを企画する際の注意点や同サービスの狙いなどについて聞いた。
これからアプリを作りたいという人へ
──これまでiPhone/iPadアプリのリリースに携わってきた経験から、これからアプリを手がけたいという企業に対して注意すべき点はありますか?
アプリヤではこれまで「APPLIYA STUDIO」というサービスを展開してきました。アプリの企画者の開発費用は無料にする代わりに、有料アプリをリリースして、そこから上がる収益を企画者とレベニューシェアしていくサービスです。
そのサービスでは、誰でもアプリが作れるようにし、ハードルを設けなかったせいか、何が目的なのかまったくわからないアイデアが数多くあったんです。たとえば、アルパカの写真が2、3枚あって、それを使って写真集アプリを出したいとか、自分の彼女の写真を使ってアプリにしたいとかいったものもありました。MY LOVE! なんていうアプリをですね(笑)。
いったい誰が買うんだ? と思ってしまうし、それではアップルの審査は通らないでしょう。これは極端な事例ですが、アプリを使って何をしたいのか、アプリを作る目的が何なのかわからないことは非常に多いんです。
たとえば、ある飲食チェーンから、ARを使ったプロモーションアプリを作りたいという相談を受けたことがあります。要件はたったそれだけ。こちらとしては、お店の紹介アプリを作りたいのか、お客さんにリピーターになってもらうためのアプリが作りたいのか、話を聞いてもその目的がどこにあるのかよくわからないんですね。
多機能アプリが失敗する理由
──いろいろなコンテンツを詰め込んだアプリなら作れそうですが。
より多くの機能を入れてアプリを作ることも不可能ではありませんが、そこにはいくつも大きな問題がありますし、そもそもiPhoneに多機能アプリは向かないと思います。
まずは、概算見積もりが巨額になってしまうことが理由にあります。それから、iPhoneに適しているのは、ちょっとした空き時間に、さっといじれる、単機能に特化したものだと思います。実際に海外も含めてApp Storeのランキングデータを毎日蓄積して、どういったアプリが人気なのかを調べたところ、ランキング上位に長期滞在していたのは、単機能のアプリだったんです。
アプリのダウンロード後に操作に慣れるまで時間をかけようという人は少数派で、アプリにヘルプを設けても、そこをじっくりと読もうという人も少ないでしょう。iPhoneは難しい説明がなくても使えるのがウリのデバイスだと思うんですよ。そう考えていくと、複雑な多機能アプリほど使われずにiPhoneから消されてしまう傾向にあると思います。
──そのほかにアプリを作ろうとするなかでの問題点はありますか?
企業がアプリを作りたくとも、うまい具合に開発会社が見つからず、開発会社も地方の会社になると腕はあるけど仕事がないケースが見受けられます。
この部分が改善されれば、日本のアプリ環境って変わってくると思うんですよ。こうした一連の問題点を改善させる目的で「APPLIYA STUDIO CONNECT」というサービスを5月にリリースしたんですね。