野坂社長は、WiMAX 2を「光ワイヤレス」と表現。固定回線の光ファイバ並みの容量を無線で可能にするWiMAX 2によって、「イエもソトもこれひとつ、インターネット・オン・ザ・ゴー」を実現していきたいと話している。

WiMAX 2は、国際標準としてはIEEE802.16mとなり、すでに今年3月には標準化が完了している。業界団体のWiMAX Forumによる標準化も5月に完了しており、今後、国内の法制度の整備に続いて周波数割り当てを受けたうえで、2012年下期には対応端末を発売し、2013年の早期にサービスを開始していく計画だ。周波数割り当てでは、現在の2.5GHz帯と隣接する2625~2660MHz(旧「モバHO!」の跡地)の取得を希望しており、他社との割り当ての争いはないものの、取得できる可能性は現時点で「五分五分」(同)という認識だ。割り当て幅は不明だが、野坂社長は「現実的には20MHz幅になる」との予測を示している。

WiMAX 2の展開スケジュール。すでに標準化は完了しているため、国内の制度上の課題、周波数割り当てを受けて、サービス開始に選考して端末を投入し、13年にはWiMAX 2を提供する計画

WiMAXは、米国や韓国、ロシアなどでサービスが展開されているが、「UQは世界でもっとも成功した例」(インテル・宗像義恵副社長)であり、WiMAX 2でも世界に先行していきたい考えだ。7日には、韓国・台湾・マレーシアの政府関係者や、各国のWiMAX事業者約50名が集まったWiMAX 2ワークショップが開催され、UQが技術的に先導していくことを狙う。また、UQはマレーシアの通信事業者YTL CommunicationsとWiMAX 2のデバイス開発・国際標準化、ローミングなどでの協力協定の覚書を締結するなど、「アジア発の新しい力とエネルギーでWiMAX 2を世に出していきたい(野坂社長)と意気込む。

WiMAX 2の拡大を狙い、各国政府や事業者とも協力関係を構築していく

WiMAXの旗振り役の1社であるインテルの宗像副社長は、通信機器の増加・トラフィックの増大で、15年には世界のトランザクションが1,000エクサバイト(10兆GB)にまで達するとの予測を披露し、「常に快適にインターネットを楽しむには、膨大な通信量をどうサポートするかが鍵となっている」と指摘。WiMAX 2への期待を表明し、「インテルの事業戦略の実現にも重要な意味がある」として、密接に協力していく考えだ。

インターネット接続可能な端末の増大とネットワークサービスの拡大

それによって膨大な量のトランザクションが今後も発生していく

インテルはサーバーからPC、モバイル端末までをカバーしており、これを実現するためには高速・大容量の通信インフラが必要だという

UQでは、13年のサービス開始、12年の端末発売を目指し、積極的に製品の開発も進めており、今回、米GCTのUSBドングルタイプの通信端末を公開。実験局としてSamsung製の基地局も導入しており、大手町周辺で実証実験を行っている。公開されたフィールドテストでは、停止状態で最大下り150Mbps、バスの低速移動時で下り80~100Mbpsの速度を実現しており、理論値通りの性能を達成していた。

KDDI大手町ビルの23階に基地局、屋上にアンテナを設置し、WiMAX 2の電波を発している

同社のテストでは、このアンテナから500mの地点でも下り100Mbpsの速度を実現している

公開されたテストは、ラッピングバスにアンテナを設置し、基地局からの電波を受けて、社内で通信速度の計測、4本のHDビデオの同時ストリーミングをデモ

静止状態でのデモの最高速度は、下り150Mbpsに達した

今回のデモで走行したルート。今回は低速のバス実験だが、新幹線の高速走行中でも「下りで40~50Mbps程度」の速度を目指すそうだ

走行すると80~100Mbps程度まで速度低下。4×4のMIMOとビルによる反射のため、80Mbpsが出るという

ただし、皇居脇を通るルートだと反射がないため、速度は40Mbps台まで落ちた

ビデオストリーミングはQoSを入れており、40Mbps台まで速度低下しても、4本とも滑らかに再生されていた

実験で使われているSamsungの基地局

GCTが開発している(左から)ルーター、USBドングル、ミニPCIカードの試作機

USBドングルタイプはすでに動作している。認証が取れていないため、電波の受信しかデモされていなかったが、このサイズで4本のアンテナで受信できている。既存のWiMAX端末に比べて、2本のアンテナ分、大きなサイズになっているそうだ(基板の左3分の1程度)