トレイダーズ証券と使えるねっとは5月30日、東京都で「スマートフォンによる次世代自動売買取引入門セミナー」を開催した。VPSを使って自動売買を安定したネットワーク環境で運用した上で、スマートフォンにより、リモコン感覚でVPSを操作する例などが示された。
同セミナーは、東京都品川区の日本マイクロソフトで開催された。当初は3月22日に開催される予定だったが、3月11日の東日本大震災の影響により、延期されていた。
裁量トレードで"天才"はごくわずか
セミナーでは、CIT代表取締役の杉本貴秀氏が「シストレのメリットや活用法」、トレイダーズフィナンシャル調査部長の高橋謙吾氏が「スマートフォンによる自動売買取引の極意」と題して講演した。
杉本氏は2009年にCITを設立、同社では、日経225・FXの自動売買システムの開発・販売を行っている。
同氏はまず、「95%の個人投資家が負けている」と指摘。本来は負けるか勝つかは半々のはずであるだが、95%が負ける理由として、個人投資家がその場その場の感覚・感性でトレードする裁量トレードを行っていることを挙げた。杉本氏は裁量トレードについて、「中には長嶋茂雄氏のような天才はいるが、そういう人は少ない」とし、"天才ではない人"は、根拠のあるルールに基づいてトレードする「システムトレード」を採用すべきだと説明した。
さらに杉本氏は、さまざまなモバイル環境、クラウド環境が整ってきている今、システムトレードをコンピュータプログラムにしたがって自動的に行う「自動売買」が有効であると述べた。
自動売買は、大きく分けて「自分で売買システムを構築する場合」と、「専門業者の作った売買システムを利用する場合」の2通りがあるが、杉本氏は、自分で構築する場合は「正直、かなりハードルは高い」とし、専門業者のシステムを利用する方法を勧めた。売買システムによるシステムトレードを始める場合は、「システムトレードの最低限の知識」「証券口座・取引環境」「システムトレードツールと売買システム」が必要であるとも述べた。
売買システムを選ぶ際のパフォーマンスデータの利用方法は?
その上で、売買システムを選ぶ際のパフォーマンスデータの利用方法について説明。「総取引回数」については、最低100以上、理想は500以上の取引回数が必要であるとした。さらに着目すべきデータとして、「プロフィットファクター」「損益レシオ」「最大ドローダウン」を挙げた。プロフィットファクターは、「総利益÷総損失」で、「1」以上あれば、そのシステムは黒字となる。杉本氏は、プロフィットファクターが「3」とか「4」だとおかしく、ほどよいのは、「1.5~2」であると説明。
「損益レシオ」は、利益と損失のバランスを図るための基準となる数値で、たとえば、1回の勝ちで$100の利益、負けトレードで$100の損失が出るなら、損益レシオは「1」となる。
「勝率」が5割で、「損益レシオ」が1なら、そのシステムの損益はトントンとなるが、杉本氏は、パフォーのマンスデータを見る場合、この「勝率」と「損益レシオ」の関係を見れば、そのシステムの特性が分かると説明した。また、「最大ドローダウン」は、トレード期間中に資産が下落した幅の中でもっとも大きいものであるとし、システムトレードでは、この最大ドローダウンによって、最初から負ける範囲が分かっているのがメリットと述べ、最低でも、最大ドローダウンの3倍の資金を用意してトレードすべきであると強調した。
また、システムトレードを行う際には、取引環境が重要であると指摘。自宅のPCでは、通信回線が途中で切れたり、パソコントラブルの可能性があり、電気代も大きいと説明した上で、クラウド環境を活用することを勧めた。VPS内に自動売買システムを置いておけば、PCもそこまでハイスペックでなくてもよく、トラブルの時でも大丈夫であると説明した。
また、自宅PCでトレードを行った場合とVPSを利用して行った場合を比較したデータを挙げ、VPSで行った場合のほうが、好成績を収めたことも示した。