健康被害を誘発する危険性を考慮

例えばエアコンの設定温度を29~30℃にする、冷蔵庫の設定を「中」から「弱」にするなど、「家庭の節電メニュー」で掲げられた以上の対策をとれば、もっと削減量を増やすことができるのではないだろうか。この点について尋ねてみたところ、「ある程度の効果は見込めるが、推奨はしていません」との回答を得た。

今回の節電対策メニューを作るに当たり、もっとも気を使ったのが健康被害を誘発する危険性だったという。エアコンの温度については、室温28℃以下と29℃以上では室内にいたときの熱中症の発生率が大きく変わるという理由から28℃を推奨。また、冷蔵庫は設定を「強」から「中」にすると庫内温度が+2℃、「中」から「弱」でさらに+2℃となるため、食中毒のリスクが高まる可能性がある。こうしたことに配慮し、健康に影響がない範囲内で15%削減を達成しようという考えがこの対策メニューの裏側に込められている。

今年は多くの地域で梅雨の開けきらないうちに真夏日が続き、熱中症で病院に搬送された人の数は昨年同時期を大きく上回っている。高齢者や乳幼児のいる家庭では特に昼間の節電中の体調管理に注意が必要だ(熱中症対策についてはこちらの記事もチェックしていただきたい)。なお、夜間は全体の消費電力が下がるため、通常通りエアコンを使用しても問題は無い。睡眠中に熱中症になったり、睡眠不足で体調を崩したりしないよう、適度な空調を心がけよう。

あわせて知りたい、効果的な節電とは?

そうは言ってもやはり日中の消費電力推移は気になるところ。さらなる節電を行うには何をしたら良いのだろうか。まず効果が見込まれるのが、消費電力の多い家電を日中の時間帯に使用しないことだ。アイロンや炊飯器などは1000W以上の電力が必要となるため、これらを使用すると単体で在宅世帯およそ1世帯分に匹敵する電力を消費してしまう。1台の使用時間が短くても、何万件もの家庭が使用すれば影響は大きい。食器洗い乾燥機やヘアドライヤー、ホットプレートなども日中を避け、朝9時以前または夜20時以降に使用することを心がけたい。食器洗い乾燥機やヘアドライヤー、ホットプレートなども日中を避け、朝9時以前または夜20時以降に使用することを心がけたい。

また、使用していない機器のコンセントを抜くことでもある程度の節電効果を期待できる。特に、バッテリー充電用アダプターは待機電力が大きいと言われている(最近の携帯電話の純正アダプターではかなり改良されているようだが、古い機器ほど要注意)。もちろん、通常の家電製品と比べればごく小さな値だが、携帯電話だけでも国内で1億2千万契約を超えている現在、ちりも積もれば山となるわけで効果は大きい。日中は家に人がいない非在宅家庭でもできる対策なので、必要な機器は夜間に充電し、日中はアダプターをコンセントから抜いておくことを徹底しよう。……つづきを読む