マカラック氏はエアマルチプライアーにおける重要な技術として、円形のループ増幅器と「ミックス フロー インペラー」を紹介した。
周囲の空気を巻き込み、吸い込んだ空気の15倍の風が生まれる
「ミックス フロー インペラー」は土台の部分に搭載された羽根車で、高速で回転することで空気が吸い込まれ、圧力の高い気流となって、ループ増幅器の空洞の部分へと送り込まれる。飛行機のエンジンにも使われるテクノロジーを応用し、開発されたものだという。
「インペラーの下の部分に、複数枚の対称な羽根が付いています。羽根は少しずつ間隔をずらして配置され、これによって回転時の摩擦を減らせます」とマカラック氏は話す。羽根には極めて小さな穴が開いており、これも空気抵抗を減らすのに役立っているとのことだ。
ループ増幅器に関して、マカラック氏は分解されたエアマルチプライアーを指さし、「切り取った断面は翼のような形をしていますよね」とコメント。空洞の部分に送り込まれた気流は、ループ増幅器内にある1.3mmの円形開口部を通過することで加速する。そして翼状の傾斜の上を通って円形気流となり、周囲の空気を巻き込んでいくという。
「AM01の場合、吸い込んだ空気の最大15倍の風量を生み出せます。1リットルの空気から、15リットル分の風が作られるわけです」とマカラック氏。タワー型の「AM02 タワーファン」はさらに風量が大きく、16倍の風を生み出せるという。
エアマルチプライアーを使えば、85%の節電も可能に!
その他、「つまみ式なので、好みの風量に微調整できる」「羽根をなくしたので、汚れたときの掃除が楽」「機械はすべて土台の部分にあるので、倒れにくく安定している」など、エアマルチプライアーの利点が次々に紹介された。"羽根のない扇風機"だけに、スムーズでムラのない風になるのも特徴だ。
また、今夏の節電で扇風機が注目を集める中、エアマルチプライアーは省エネタイプのエアコンより約85%節電できることも、特筆すべき点だろう。
一見、奇抜なデザインのエアマルチプライアーだが、ダイソンが過去に培った技術を応用しながら、実に理にかなった形で製品化していたのだ。発売以来、大きな反響を呼び、昨年度のグッドデザイン大賞を受賞するなど、デザインと性能の両面で高い評価を得たのもうなずける。
「AM01 テーブルファン」「AM02 タワーファン」のダイソンオンラインストア限定モデルは、17日まで、「papabubble渋谷店」にて展示される。限定カラーとなるマゼンタやシルバーの発色の良さや、スムーズでムラのない風が作られる様子を、実際に見て体感してみてはいかがだろうか。