Fedora 15の新機能及び改良点

インストールに関してFedora 15よりBtrfsのサポートが強化された。FedoraプロジェクトではFedora 11より実験的ながらBtrfsがサポートされた。前回リリースのFedora 14でもDVDからインストールしなければならなかったが、起動オプションにbtrfsオプションをつけることで利用できた。

Fedora 15でも引き続きDVDからインストールする必要があるが、起動オプションをつける必要がなくなった。標準のファイルシステムは引き続きext4だが、パーティションをカスタマイズしてインストールすればBtrfsでシステムが構築できる。

他にも数多くの新機能や改良が行われている。Beta版時点での主な変更点を以下に紹介する。今回のリリースではGNOME 3の採用と外観の変更が大きい。もちろんデベロッパー向け、システム管理者向けの改善も行われている。

  • Linux カーネル 2.6.38
  • Gnome 3の採用
  • Btrfsのサポート強化
  • オフィススイートをOpenOffice.orgからLibreOfficeに変更
  • Firefox4の採用
  • GCC 4.6に変更
  • GDB 7.3ベース
  • Python 3.2にアップデート
  • Ruby on Railsを3.0.5にアップデート
  • Maven 3のサポート
  • SPICEがVirtManagerに対応
  • BoxGrinderの採用
  • ファイアウォールの動的設定
  • 消費電力管理としてPowerTOP 1.97(2.0BETA)の採用
  • UEFIマシンの4KBセクタのディスクからのブートをサポート
  • /var/run/及び/var/lock/をtmpfsでマウント

OpenOffice.orgからLibreOfficeへの変更はFedoraだけでなく他のLinuxディストリビューションでも行われている。LibreOfficeが採用されることで活発に開発が行われる可能性が高い。Webブラウザは最新のFirefoxが採用された。

デベロッパー向けのソフトウェアとして、最新のGCCやGDB、Python、Ruby on Rails、Maven 3などが入った。

システム管理者向けにも様々な対応が行われている。Fedora 14より仮想化技術としてSPICEがサポートされるようになったがVirtManagerに対応しておらず、管理しずらいといった問題があった。Fedora 15ではVirtManagerでSPICEが扱えるようになった。

仮想化技術に関しては、コマンドラインで簡単に複数の仮想マシンを構築できるBoxGrinderを採用した。BoxGrinderは構築したい仮想マシンを.applというテキストファイルで記述して作成する。大量の仮想マシンを用意するような大規模な仮想化構成を構築する場合に使える。.applの作成方法についてはBoxGrinderのウェブサイトにあるチュートリアルが参考になる。

ファイアウォールへの対応が行われ、サービスやポートに対して動的にファイアウォールの有効/無効が行えるようになった。firewalldをインストールし動作させることでファイアウォールが有効になり、firewall-cmdというコマンドを使って動的に変更する。例えば、ファイアウォールの動作中にsshに対してファイアウォールを無効にして利用できるようにする場合、"firewall-cmd --enable --service=ssh"と実行する。

その他、PowerTOPを採用して消費電力の状態を把握する機能の導入、4KBの物理セクタをもつディスクへの対応、/var/run/及び/var/lock/ディレクトリがtmpfsとしてマウントすることによる高速化など、細かなプラスアルファが行われている。