――まさに「生まれ変わった」佐藤さんですが、苦手なモノはありますか?

佐藤「キュウリが苦手です(笑)。青臭い匂いがちょっと……これだけは小さい頃からずっとダメですね。そこはさすがに生まれ変わらなくてもいいかなって思ってます(笑)」

――では、人知れず秘密を抱えている人や、勇気がなくてなかなか踏み出せない人にアドバイスがあれば教えて下さい。

佐藤「私もカミングアウトするかどうか最後まで迷いました。もしかしたら隠して生きていく方が幸せなのかも知れなかったですし…ただ、私の場合は間違いや誤解を恐れず納得いくまで自分の意見を言うことも大切ですけど、『この人はどう思うだろう』『この人は受け入れてくれるだろうか』と、自分以外の人のことを考えることもすごく大事だと思ったんです」

――自分のことを考える時こそ相手のことを思いやるということですね。

佐藤「そうですね。自分にとって悩んでいる事って、もしかしたらそれがその人のいいところかもしれないじゃないですか。もちろん、いろいろな人がいればいろいろな考え方がありますが、人の意見を素直に聞いてみる事ってとても大事じゃないかと。意外とみんな真剣に向き合ってくれるんだって感じましたし私の場合はその想いがまた新しい勇気に変わりました」

――佐藤さんの本を読んで、人間関係が複雑に入り組んだ現代において自分の素直な気持ちをカミングアウトすることはとても大切なことだと改めて思いました。

佐藤「すごく嫌で辛いことがあっても、何か理由があると思えば前向きに考えられるものですよ。私も名古屋でのモデル時代に『佐藤かよは男だ』っていう噂を流された時はものすごく辛かったけど、逆にそれがあったからこそカミングアウトにつながりましたし。私自身、カミングアウトすることで新しい考え方、モノの見方を身につけることが出来ました。それに、本当の自分を伝えることによって広がった人とのつながりはとってもかけがえのないもの。カミングアウトすることがすべて正しいとは言いませんが、それによって新しい道が開けることを知ったので、私はこれからもそうやって生きていきたいですね」

「再び壁にぶつかった時、この本を読んで原点に立ち返りたい」と語る彼女。過去を振り返ってこそ見えてくる未来、そして痛みを恐れず自分をさらけ出すことで開ける新しい道――"本当の自分"として歩み出したばかりの彼女の瞳が見つめる先には、きっと輝かしい世界が待っている。

佐藤さんの癖「人間観察」

「もともと人間観察が大好きなんですよ。興味がありすぎて車の助手席やカフェでもついついジーッと見つめちゃうんです。『なんでこの人こういう髪型なんだろう?』とか『その前はどんな髪型だったんだろう?』って、勝手にどんどん想像を膨らませて。振り返れば学校に通っていた頃も勉強が苦手だった分、人間観察に完全に没頭してました。そうして友達の意外な一面や面白さを発見したりしてました。私は人間が大好きなんです(笑)」