私と担当編集Hが考えた献立は、豚キムチとあんかけ豆腐、焼鳥、ホットプレートで焼きながら食べる焼肉。「焼鳥の焼き台を使ってみたい! 」「プロの火力を確かめるために、炒め物は外せないよね」などといいながら考えた献立なので、なんだかよく分からないラインナップである。

大火力のガスレンジに感動

みんなで調理をしているとキャンプ気分に

まずはガス台で火をつけるのだが、ボッと音がして火がつき、想像以上の火力。すぐに豚肉に火が通る。無意味にフライパンを振ってみたりして、料理人気取りな編集H。大火力のおかげであっという間に豚キムチの完成だ。あんかけ豆腐はあんをガス台でつくり、レンジで温めた豆腐にかける。こちらもスーパーパワーの火力のおかげで、短時間であんが出来上がる。

次は焼鳥。「やっぱり砂肝だよねー」という私と編集Hとの会話、とても女子トークとは思えません。「ビールに合いそうだよねぇ……」とワクワクしながら砂肝に串を打っていく。そして焼き台へ。こちらも想像以上の火力で竹串が焦げてしまうというハプニングがおきつつも、無事に焼き上がった。焼肉用の肉は無料の焼肉のタレをもみ込んで、ホットプレートと共にテーブルへ持っていく。

見よ、この火力! 炒め物をつくりたくなるよね

焼鳥店のオーナーになったような気分。楽しい!

はい、パパッと出来上がりました。材料選びから調理完了まで30分弱。手分けすれば早い、早い! 私たちは2人組みだったが、その他のグループは3,4人でワイワイと調理を楽しんでいた。なんだかキャンプのよう。料理が冷めないうちに、カウンターで注文した焼酎やビールを手にして「乾杯!! 」。

この日のメニュー。焼肉用牛上カルビ(250円)+焼肉のタレ(0円)。あんかけ豆腐は豆腐(60円)+人参(60円)+椎茸(150円)+カニカマ(130円)+おろし生姜(0円)。豚キムチは豚コマ(180円)+キムチ(150円)。焼鳥用砂肝(160円)などで合計1,140円。これとは別に、ホットプレート使用料100円とチャージがかかる。ドリンクは焼酎「黒霧島」(150円)、「青島」(240円)

材料費はアルコールも入れて1,630円。チャージ(2時間分×2人)が加わって合計3,230円。セルフのおかげで他の居酒屋よりかなり安い。その点ももちろんうれしいのだが、何よりみんなで調理をするという楽しい体験が加わって、充実度はさらに増す。

自分たちでつくり出す楽しさを

こんな楽しい空間を作ったきっかけについてオーナーは、「サービス過剰なこの世の中で、若い人を見ていると考える力がなかったり、想像力の欠如を感じるようになりました。何もかも用意されていて、便利なものに囲まれ、ラクをしようとする人が多い。そんな中、何もしなくて安いのではなく、自分たちで頑張ることで安くなり、さらに楽しく過ごせるような場所をつくりたい、と考えるようになりました」と語ってくれた。さらに、「自分たちで工夫して何かをつくり出していく楽しさ、コミュニケーションの楽しさを知ってもらえたら」と付け加えてくれた。

ちなみにこちらの店舗、夜だけ貸してくれるという珍しい物件で、その分賃料も抑えられているという。セルフクッキングの店なので、スタッフの人数も少なくてすみ、その分安価でアルコールや食材を提供できるのだ。しかし、こういうスタイルの店は他に少なく、立ち上げ時は保健所との打ち合わせに苦労したとか。その甲斐あって、「みんなで協力し合ってつくった料理は格別」なんていうキャンプでしか味わえないような楽しさを、都会で気軽に満喫できるのだ。

ちなみに私たちの隣のテーブルにはカップル客がいたのだが、「オレ、めっちゃ料理うまいねんから」と女性に一生懸命アピールしていて、男性が腕を振るっている感じが微笑ましかった。料理って、意外にその人の素の部分が垣間見れたりもするので、実はこのお店、合コンに最適なのかもしれない。

店舗情報
「清貧」
東京都中野区本町6-20-12 SAN新中野ビル1F
03-6892-0841
定休日: 月曜日
営業時間: 火曜日~木曜日19:00~翌1:00、金曜日19:00~翌5:00、土曜日16:00~翌5:00、日曜日16:00~24:00(ただし、翌日が祝日などで休み場合は16:00~翌5:00)