Sony Ericssonのブレインといわれる坂口氏。「携帯電話は将来、ロボットのように、コミュニケーションの仲介役になると考えている」という

ともにAndroid端末でPlayStation Suite、3G通信に対応するXperia PLAYとNGPだが、競合しないのか? その質問について、坂口氏は「競合はない。消費者がXperia PLAYを選ぶか、NGPを選ぶかだ」とし、ハードコアのゲーム愛好家はNGPを選ぶだろうとの認識を示した。Walker氏はこれに「市場には常に複数のカテゴリがオーバーラップする」と補足。携帯電話はずい分前から高スペックなカメラを搭載するが、デジカメの市場が消えたわけではないと例を挙げ、「Xperia PLAYはコミュニケーション端末。合わせて優れたゲーム機能も持つ」と説明した。

スマホ市場を狙うゲームパブリッシャーの期待

Xperia PLAYではPlayStation Suiteだけでなく、Android Marketで提供されているスマートフォン向けゲームももちろん利用できる。Xperia PLAY向けのゲームとしては、SCEがPlayStation用のゲームを最適化したものを提供するほか、EAやGAMELOFTなど合計20社がXperia PLAY向けに最適化したゲームを提供することが決定しているという。ローンチ時には50のゲームタイトルが揃う予定だ。ユーザーはこれらのゲームをどのマーケットが提供するゲームなのかを気にせずに入手してプレイすることができる。「ディスカバリー(検索)エンジンを搭載し、ユーザーが好みのゲームを容易に見つけられるようにしていく」とWalker氏は語る。

Walker氏はまた、Xperia PLAYが既存のゲームパブリッシャーにとっても期待がかかる製品であると述べる。スマートフォン向けアプリ市場では、ベンチャー企業がリードしている状況で、既存のゲームパブリッシャーは後発となっているが、そこにXperia PLAYが投入されれば、既存のゲームパリッシャーに新しいチャンスをもたらすものになるからだ。既存のゲームはタッチ画面を想定して作成されておらず、コントローラーなしには本格的なゲームができない。「ゲームパブリッシャーにとってスマートフォンはより多くのユーザーにリーチできる市場。『やっと、まともなゲームができるスマートフォンが登場した』と(パブリッシャー側は)歓迎している」とWalker氏は説明する。

百花繚乱のAndroidスマートフォン、Sony Ericssonの強みは?

Sony Ericssonでは2009年秋に発表した「Xperia X10」で初めて「Android」を採用。2010年のMWCではSymbianを搭載した新機種を発表するなど、Android一本の印象はなかった。しかし今年は明確に、Androidを戦略の中心に据えたスマートフォンポートフォリオを進める道筋を示した。ただし Windows Phoneについても、提供の可能性を否定していない。

韓Samsungなど多くのメーカーが参入しているAndroid市場だが、Walker氏はSony Ericssonには「Android技術を早期に提供する」「ソニーの持つ画面技術などユニークな技術にアクセスできる」「ソフトとハードの両方におけるデザイン力とブランド」という3つの強みがあるとしている。

例として、最新のスマートフォン向けOSであるAndroid 2.3(Gingerbread)搭載端末をいち早く提供できる技術力や昨年からXperia全モデルで採用している「Human Curvture」(背面のゆるやかなカーブ)によるデザインを挙げ、これらはSony Ericssonのデザイン哲学によるもので、ファンから高い支持を得ていると説明した。「目隠しをして触っても社名がわかる端末はSony Ericssonだけだ」と坂口氏は自信を見せる。

日本ではNTTドコモから発売されている「Xperia arc」。薄さだけではない、ボディの曲線(Human Curvture)がSony Ericssonらしい

Sony Ericsson製タブレットの可能性は?

このほかスマートフォン以外のカテゴリの提供の可能性については、「タブレットと呼びたくないが、大型のスマートフォンになるだろうか? 」と坂口氏はあいまいに答えた。一方でWalker氏は、「タブレットの定義はあいまい。スマートフォンは進化しており、境界があいまいになっている。画面サイズの大きさでカテゴリ化するのはおかしい」との見解を示した。

Walker氏は、「ソニーの世界とAndroidの世界を結びつけて美しい端末を作る」と自社の役割を強調する。デザイン、ユーザーインターフェースなどで一貫性を持たせることで、差別化しブランド化していく考えだ。