原作の世界観をそのまま引き継いだ切ないストーリーになっている

『ココロ』は現代よりもおよそ500年先の未来から始まる。

廃墟を探索しにきた兵士たちが発見した一体の少女型ロボット。偶然起動した彼女は、ロボットが人間と同じココロを持つことができる唯一のプログラム「ココロシステム」と、それが生み出された500年前の出来事について語り始める――。

いったい500年前に何があったのか。そして500年後、何が起ころうとしているのか

いちおう「ニコニコミュージカル」をうたってはいるものの、本作では出演者が歌ったり踊ったりすることはなく、終始シリアスなストーリーが続いていく。

とはいえ、そこはやはりニコニコ動画に精通している石沢氏。要所要所にニコニコユーザーならクスッとしてしまうネタを織り交ぜて笑いを取ってくる。「ニコニコ東方見聞録」でもそうだったが、石沢氏はこうした"わかる人にはわかる"ネタの入れ方が非常に巧妙だ。さらにラストにはボカロファンなら思わず痺れてしまう演出も用意されているので、台詞や動きの一つ一つを見逃さないようじっくりと鑑賞してほしい。

ところどころに挟まれる小ネタが楽しい

また、ビジュアル面の完成度も非常に高い。鏡音リンの衣装はもちろん、近未来をシンプルに表現した研究施設のレイアウト、さらに色と光だけで場面転換を表現する手法はどれも一見の価値がある……続きを読む