システムの変更点
UIに大きな変更が見られるNatty Narwhalだが、その他の変更点はどのようになっているのか。以下に簡単ではあるがベータ版時点でのNatty Narwhalの主な改良点をあげる。
- Linux カーネル 2.6.38
- Frefox 4の採用
- 標準のオフィススイートをOpenOfficeからLibreOfficeに変更
- 標準の音楽管理ツールをRhythmboxからBansheeに変更
- グローバルメニューの導入
- 新デザインのスクロールバーの導入
- X.orgサーバ 1.10及びMesa 7.10の利用
- Ubuntu One コントロールパネルの追加
- インストーラの改善
- Ubuntuソフトウェアセンターにレート及びレビューの追加
Natty Narwhalでは、UIだけでなく主要なアプリケーションも大きく変わった。オフィススイートがOpenOfficeからLibreOfficeに、音楽管理ツールがRhythmboxからBansheeに変わった点など使用頻度が高いと思われるアプリケーションが変更されている。
Ubuntu 10.04以降iPhoneが標準で認識されるようになったが、Bansheeに変更された場合でも利用できるのか試してみた。iPhone 3GSを接続させてみたが、問題なく認識され利用できた。なお、UbuntuでiPhoneを利用する場合は自己責任でお願いしたい。
グローバルメニューを標準で導入していることもUIの大きな変更点といえる。グローバルメニューはアプリケーションのメニューがウィンドウ内ではく、パネル内に表示される機能だ。Mac OSの表示方法と同じといえる。グローバルメニューに関してはUnityの動作の有無に関係なく利用できるが、ベータ版では対応しているアプリケーションはマチマチだった。
/etc/X11/Xsession.d/以下にファイルを作成することでグローバルメニューではなくウィンドウ内に表示させることができる。ファイル内に"export UBUNTU_MENUPROXY="という1行を追加する。作成したらログアウトし、入り直すことで有効になる。戻したい場合は作成したファイルを削除すればいい。
CanonicalのクラウドサービスであるUbuntu Oneの利用のしやすさを向上するため、Ubuntu One Control Panelが標準で入った。これまでUbuntu Oneの同期はNautilus経由で行っていたが、Ubuntu One Control Panelで制御できるように変わった。
ウィンドウシステムに関してXからWaylandへの切り替えを示唆していたが、レビューに使用したベータ版ではWaylandではなくXが使われている。まだわからないが、ベータ版で使われていないことからWaylandを導入することは今回見送られたのかもしれない。
その他、インストーラではAllocate drive spaceステップの表示が変わった。ストレージに対してどのようにインストールするかわかりやすくなった。すでにストレージに他のOSがインストールされている場合、マルチブートにするか入れ替えるか選択できる。
Ubuntu Software Centerには利用者によるレビューやレートが表示されるようになった。レビュー及びレートは、Ubuntu Software Centerより書くことができる。Ubuntu Software Centerのアカウントを取得する必要があるが、書き込む時に登録画面が表示される。
ユーザの視感に迫った"粋なイッカク"
今回も様々な変更があったことはわかったが、特に既存のユーザを混乱させているのが"Unity"の採用ではないだろうか。UIに関してはどうしても使い慣れた操作感が望まれる傾向にあり、抵抗感が生まれてしまう。さらにGNOME3で導入されたUI、GNOME Shellではなく独自開発のUIを採用したことで余計に多くのユーザの戸惑いを招いているといえる。
真意は定かではないが、Mark Shuttleworth氏はLaunchPadにある"Unity"のバグ報告内において次期バージョンである"Oneiric Ocelot"ではクラシックなデスクトップ環境にはしないという趣旨のコメントを3月末に示している。Unityを推し進めるのか、GNOMEに戻るのか、GNOMEから完全に脱却するのか、Ubuntuの標準のUIが今後どのように変わるのかはまだまだ先が見えないというのが現状だ。
Unityを採用した"粋なイッカク"ははたしてユーザに受け入れられるのだろうか。そしてUnityは市民権を獲得できるのか。Ubuntu FundationはNatty Narwhalの正式リリースを4月28日としている。