使い勝手を向上させる様々な新機能
HD革命/BackUp Ver.11は、製品CD-ROMにWindows PEを組み込むことで直接起動することができる。同環境では主に復元操作や起動しなくなったコンピューターのリカバリーといった操作を目的にしているが、新たにArkランチャーを使用可能にし、Windows OSに製品を導入したときと、ほぼ同じ環境で使用できるようになった。
加えてワンステップバックアップ/復元や、バックアップファイルの検査機能なども新たに備え、使い勝手が大幅に向上している。特筆すべきはファイルコピーをGUI上から行えるファイルコピーツールを用意している点だ。もちろんコンピューターの操作に慣れた方なら、Windows OSセットアップCD/DVD-ROMから起動する環境でファイルのサルベージ(救出)が可能だが、コンピューター初心者には、ファイルコピーツールを用いたGUI操作が大きく役立つはずだ(図09~10)。
また、HD革命/BackUp Ver.11には「スタンダード版」、パーティションツールを加えた「with Partition EX」、CD-ROMからの起動だけを目的とした「CD起動版」の3エディションが用意されているが、スタンダード版およびCD起動版でもWindows PE環境では、アクティブパーティションの設定やパーティション削除いった操作が行える(図11)。
HD革命/BackUp Ver.11の改良は各所に施されており、バックアップイメージを元にコンピューターを起動するワンプッシュイメージブートや、OSが起動できない緊急時に復元を実行するワンプッシュリカバリーの設定も簡易化され、数ステップで各機能を有効化できるようになった(図12)。
同社の各製品に搭載されているバックアップデーターに、チップセットのデバイスドライバーを組み込むことで、異なるコンピューターでも復元や起動を可能にする「どこでも復元」も最新版が搭載されており、新たにネットワーク機能のデバイスドライバーをダウンロードするようになった。緊急時の操作はもちろん日常的にも欠かせないネットワークデバイスをサポートしたのは大きな進化といえるだろう(図13)。
今回はサポート外ということで詳しく検証していないが、HD革命Backupシリーズのバックアップイメージファイル(拡張子「.hdz」)からWindows Virtual PCのHDDイメージファイルやWindows 7のバックアップイメージファイル(拡張子「.vhd」)への変換機能は前バージョンでもサポートされていたが、新たにVMware Playerなどで使用可能なHDDイメージファイル(拡張子「.vmdk」)への変換もサポートされた。
このようにHD革命/BackUp Ver.11は、ドラスティックな機能拡張ではなく、ユーザーの使い勝手を意識した機能向上を目指したバージョンアップ製品だ。実際に使ってみると、かゆいところに手が届くような改良が加わり、実に使いやすいバックアップ/復元ツールに仕上がっている。これまで同シリーズを使用中のユーザーはもちろん、利便性の高いバックアップツールを求めている未使用ユーザーも、HD革命/BackUp Ver.11を選択肢に加えてもよいだろう。