上田晃司氏

2011年2月26日、iStockphotoは、TOKYO INSTITUTE OF PHOTOGRAPHY、一般社団法人 アスリートソサエティとのコラボレーション企画として、「アスリート撮影ワークショップ」を東京都内にて開催した。ワークショップの前半では、フォトグラファー 上田晃司氏によるカメラライティングの講習が行われた。

スタジオ撮影の基本とは?

上田氏の講習会は、「スタジオ撮影で注意すべき基本」からスタートした。上田氏は、スタジオ撮影では、カメラを必ずマニュアルモードにし、シャッタースピードやF値が勝手に動かないよう固定する必要があると解説した。固定するF値は、50mmレンズの場合は「F5.6~8」くらいを目安にすると美しい写真が撮れるとのこと。どうしても希望するF値にならない場合は、無理に絞らずNDフィルターを付けて、光の量を調節する必要がある。絞りすぎると光の回折現象が起こり、被写体の輪郭が汚くなってしまうからだ。

適正なF値で撮影すると、シャープで美しい写真が撮れる。しかし、NDフィルターを使わずに必要以上に絞りすぎるとぼやけてしまう

続いてはスタジオ撮影で重要なライトの解説。ストロボの種類は大きくわけて3種類。ひとつめはカメラの上部に取り付ける小型のクリップオンタイプ。ふたつ目は電源とカメラが一体化したモノブロックと呼ばれるもの。そして3つ目は、主にプロが使うジェネレータータイプ。セミナーで上田氏は、それぞれライトの特徴を解説した。

クリップオンのストロボは、光量が足りないので、スタジオ撮影ではほとんど使われない。クリップオンの場合は被写体の一部分にしか光が当たらないが、モノブロックやジェネレータータイプの大型ストロボを使うと、人物のように大きな被写体でも、まんべんなく光が当たるという。

モノブロックタイプの特徴は、電源ケーブル1本を繋ぐだけで使用でき、本体が軽量ということ。セットアップのしやすさが売りだと上田氏は語る。価格は6万~10万円で、プロ用機材としては比較的安価であるが、本体側にスイッチ類があるため遠隔操作ができないのが欠点とのこと。

一方、ジェネレータータイプの機材の利点は、複数のライトの設定を一元管理できるという部分。これは、複数のライトを使う大規模な撮影時には便利だ。また、リサイクルタイムが短く、連射撮影することも可能。モノブロックタイプでは、シャッターを切るたびに2秒程度のロスがあるが、ジェネレータータイプは待ち時間1秒以下で連続撮影が可能。欠点は、本体が何十万もするほど高価な事と、機材セットが大がかりになってしまうという点。ちなみに、レンタルで使用しても、1日1万円程度かかるそうだ。

クリップオンを使った場合、背景にくっきりと影が出る。大型のスタジオライトの場合は、滑らかなグラデーションを作れる

モノブロックのライト。電源さえ確保できればどこでも使える

Profotoの「D4」という大型のジェネレーター。同時に4灯までのライトを制御可能

スタジオ撮影で使用するスタンドなどの機材も紹介された。左側の2本は複数のスタンドを密着して立てられる「C Stand」

「持っているとなにかと便利」と紹介された、「Gobo Head(ゴボヘッド)」と呼ばれる機材。ポール状のものを固定するときに使う