"無敵"のシステムの開発は可能か?
ここで気になるのは、2割のトレンド相場については、「ユニバース」は無難に切り抜けていくしかないことだ。トレンド相場でも積極的に利益を取りにいってくれれば、より利益は大きくなる。「システムも無敵というわけにはいきません。得意な相場つきと苦手な相場つきが出てしまうのは仕方がないことです。得意な相場つきで、大きな利益をあげて、不得意な相場つきでは損失を出さずにすごし、トータルで大きな利益を残していくというのがトレードシステムです」(山田氏)。
しかし、この問題は、オフィスサムソンの今後の大きな目標になっているという。「どのようなロジックにも得意な相場というのがあります。では、例えばボックス相場に強いロジックとトレンド相場に強いロジックの二つを組みこんで、相場つきを自分で判断して最適なロジックだけを動かす。そういうシステムが作れれば無敵になるでしょうね。それはぜひ挑戦してみたい。我々の大きな目標です」(山田氏)。
しかし、それはかなり難しいことであるともいう。というのは、どのような相場であるかということを自動で判断するのは極めて難しいからだ。ここをシステムが自動判断するのはまだまだ難しく、人間にしかできないことでもあるという。
「人間には経験がありますから。過去の相場状況を記憶していて、それと今を比べることで、今後の相場つきを判断している。もし、システムがここまでできるようになったら、ぼくも自分でトレードするのはやめて、システムに全部まかせるようにします(笑)」(山田氏)。
ミッションは「トレードの世界を盛り上げること」
オフィスサムソンの4人のメンバーはそれぞれが専業トレーダーだ。しかも、役割分担が見事に分かれている。山田氏がリーダーで、豊富な相場観でトレードアイディアを生みだしていく。宇賀氏はシステムトレードに詳しい。林氏はIT企業の出身でプログラミングやネットワークの専門家でもある。福田氏はFXの専門家。4人がそれぞれトレードシステムを開発し、それを残りの3人にも使ってもらい、意見を聞きながら修正をしていく。
トレードシステムの開発は、相場観、トレードアイディア、プログラミング、サポートとさまざまな面の技量が必要になる。トレードアイディアは素晴らしいが、それをきちんとプログラミングできていないので、パフォーマンスがあげられないシステムだとか、せっかく素晴らしいシステムなのに、現状の相場状況と合わないためにパフォーマンスがでないなどのことも起こりがちだ。帯に短し、たすきに長しのシステムはどうしても生まれてしまう。
しかし、オフィスサムソンは、4人がそれぞれの専門領域をもって開発しているので、このような「帯に短し、たすきに長し」のシステムが生まれてこない。「ロジックはいくつもあります。音楽でいえば、曲はたくさんできている状態。あとはいつレコーディングするかの問題だけ」(山田氏)。
オフィスサムソンの4人のミッションは、「トレードの世界を盛り上げること」。自分の利益、自社の利益よりも、この世界を盛り上げることが最大の目標だ。「リーマンショック以降、トレードをやめる人が増えて、この世界がなんだか静かな状況になってしまっている。それをなんとか変えていきたい。それから、全国のトレーダーが不便に思っていることも改善したいですね」(山田氏)。
4人の目標は高いところにある。オフィスサムソンは、文字通り「トレーダーの虎の穴」だ。ここから、トレードの世界が変わっていくかもしれない。
いまでもオフィスサムソンはHPで自社開発したシステムトレードの成績表を日々公開している。
http://www.officesamson.net/system.html
また販売元のテラス社のアドレスは以下の通り。