FX投資家向けにさまざまな改善を実施

VPSに申しこんできた利用者のほぼ100%が、自動売買プログラムを走らせる目的だった。そのことが分かってから、使えるねっとはさまざまな改善を行っていく。

ポーティアス氏は、「日本人のIT力はとても高い」と話した

VPSサービスは厳密には24時間稼働ではなく、一定間隔でサービスを停止して、メンテナンスを行わなければならない。企業向けのレンタルサーバでは、業務に影響がでない平日の深夜に行うのが常識だ。しかし、FXトレードは月曜の早朝から土曜の早朝まで休みなく市場が開いているので、平日の深夜に停止されては困ったことになる。そこで、メンテナンスは週末に行うような態勢を整えた。

もうひとつの問題がサポート態勢だった。従来の法人向けレンタルサーバでは、問い合わせをしてくる法人側の担当者もそれなりに専門知識をもっている。サポート担当のエンジニアたちは専門用語を使って、正確な説明をすることができた。しかし、今度のVPSサービスの利用者はITを使いこなしているものの、IT技術の専門家ではない。専門用語ではなく日常用語を使ってわかりやすく説明することが要求されるようになった。「今までとはサポートのやり方がまったく違います。研修を行うとともに、サポート要員を大幅に増員しました」。

しかし、サポートの問題はそう簡単ではなかった。

「投資内容に絡んだ相談、質問もくるのです。そのような質問に答える能力は私たちにありませんし、うっかり答えると法的な責任を追及されかねません」。例えば、「どの自動売買プログラムがいいか?」という質問もあるかもしれない。使えるねっとはVPSサービスを提供している側だから、「弊社では○○と○○という自動売買プログラムの動作確認をしております」という動作環境に関わる内容については答えられるし、答えるべきだ。しかし、それが会話の中でのやりとりの中で、「使えるねっとが○○という自動売買プログラムを推薦した」「利益が出ると保証した」という受け取られ方をしてしまうと、困った誤解を生んでしまうし、場合によっては投資助言業に関わる法律に触れる可能性も出てくる。

そこで、ひまわり証券との提携という発想が生まれてきた。動作環境に関するサポートは使えるねっとが行い、投資内容に関するサポートはひまわり証券が行うという役割分担ができる。もう一つは、ひまわり証券はトレードシグナルという自動売買プログラムのプラットフォームを持っていることだ。このトレードシグナルもWindows上で動作するので、VPS上で走らせてもらえば、投資家にとって理想的なトレード環境ができあがる。

トレードシグナルが、使えるねっとのVPSで動作することは、スペック上問題はないが、現在、使えるねっととひまわり証券が共同で動作検証をおこなっている最中で、すでに「基本的に問題なし」という結果がでているという。ただし、システムトレードに利用するということから、万が一のトラブルも起こらないように、さらに厳密な検証作業を進めている最中だ。その厳密な検証作業も順調に進んでおり、3月中にはトレードシグナルの利用が可能になる見込みだという。

FXトレードというと、つい最近まで、パソコンの前に張りついて、手動で発注、決済を行うためにマウスとキーボードを連打するという「裁量トレーダー」が一般的だった。しかし、時代はVPSを使ってシステムトレードをするというところまで進んできている。手元には、スマートフォンやノートパソコンだけ。端から見れば、トレーダーだとは見えない。でも、24時間、着々とトレードシステムが資産を形成してくれている。そんな時代が、もうやってきている。