こうした3LMのプラットフォームで提供される機能は3つ。不正利用に対しては、端末の利用制限、業務で利用できるアプリのみに限定したプッシュ配信、パスワードポリシーの設定が利用可能。Exchange ServerやAcitive Directory、LDAPとの連携機能も提供し、IT管理者に対してはWebコンソールから一元的に設定できるようにする。

Android搭載端末を企業で使うことにより発生しうるリスク。社員の業務外利用や盗難・紛失時の不正利用、情報漏えい、アプリ導入時の危険性など、さまざまな問題が発生しうる

3LMのプラットフォームを使い、KDDIが提供するセキュリティソリューション

データ通信時の盗聴対策では、Android端末と企業のイントラなどへの接続にVPNを利用した暗号化通信を提供する。KDDIが提供するVPNサービス「KDDI Wide Area Virtual Switch」を使ったソリューションも提供する。情報漏えい対策では、端末とSDカード内のデータを常にAESを使って自動的に暗号化・復号化することでセキュリティを高め、紛失・盗難時のリモートワイプ、リモートロック機能を提供する。Moss氏によれば、暗号の強度を示す鍵長は、暗号化・復号化のレスポンスとのバランスから、導入企業が設定できるという。

デバイスの管理からセキュリティ機能の提供、VPNのネットワーク、そして「VirtualデータセンターやSaaS型のアプリ提供など、全体的なソリューションをワンストップで提供することで、KDDIでは法人利用の拡大を目指していく。

ワンストップでソリューションを提供できるのが強み

KDDIでは、昨年11月にスマートフォン向けリモートワイプ機能「リモートデータ削除 for IS series」、今年2月に「リモートロック for IS series」を提供。6月にはリモートロックとワイプに加え、管理サービスも提供する「ビジネス便利パック for Android」をリリースする。8月からは、これに3LMのソリューションを追加することで、セキュリティに関する不安を払拭し、法人利用をさらに拡大させていきたい考えだ。

3LMのセキュリティプラットフォームに対応する端末は現在未定だが、技術的には既存端末にもOTA配信も可能だという。KDDIでは、今夏の端末以降で対応端末をリリースしていく考えで、対応端末は別途発表するが、「夏モデルにはかなり(対応端末が)入ってくる」(KDDI取締役執行役員常務 ソリューション事業本部長・石川雄三氏)。価格に関しても現在未定だが、「リーズナブルな、抵抗感のない料金設定にしたい」(同)といことだ。

石川氏は今回のサービスについて、「(企業内で)Androidを使いたいという人は多く、そういう人たちに対するソリューション。3LMのセキュアプラットフォームを提供することで、(法人が求めるセキュリティの)課題にはすべて応えられる」と自信を見せる。中島氏は、今後資産管理などの機能を拡充する意向を示しており、1月発表のアプリ検査サービスなどのサービスとの連携も図りながら、Androidのセキュアな利用を推進していきたい考えだ。