富士通は24日、Windows 7搭載のスレート型PC「STYLISTIC Q550シリーズ」の発表にあたり、都内で発表会を開催した。席上では北米市場で2位のシェアを持つという実績が示され、また日本マイクロソフト・インテルからのゲストも登場するなど、今回の製品への自信がうかがえる発表会となった。
「PCの軸足を保ちながら、新しい市場としてタブレットに取り組む」
冒頭に登壇した執行役員 副社長の佐相秀幸氏は、まず2010年度のPC事業の状況について「前年の教育ニューディールのような目玉施策はなかったが、Windows XP機の更新などをうまくとらえ、国内・グローバルともに増収増益」とし、その勢いを来年度につなげていきたいとした。
またコンシューマビジネス全般について、富士通自身の携帯電話分野における東芝との事業統合、またNECとレノボの合弁などに触れ、「今年度もいろいろな動きがあると思う」と語り、今回の製品について「この分野にも大きなうねりがあると思うが、世の中のニーズを外さないように、歯を食いしばってやっていきたい」とし、同社が掲げる「Human Centric Intelligent Society」というビジョンにおけるフロントとして位置づけた。
続いて、執行役員 常務の大谷信雄氏が、同社のPCビジネス全般の方向性について説明した。
富士通のビジネスは、デバイス、PC・携帯電話などのユビキタスプロダクト、システムプラットフォーム、サーバーなどのインフラサービス、そしてその上の各種ソリューションと、全体を全地域で展開する垂直統合の強みを活かしていくことがポリシーであるとし、その中におけるPC・携帯電話について「お客様に近く、お客様の声を受けるたいへん重要なもの」と位置づけた。また開発・生産のスキームについては、島根を中心とする自社生産のメリットとして柔軟なカスタマイズ・先進的な技術・さまざまな状況に対する迅速な対応を挙げ、標準的な仕様で低価格を実現するODM生産と組み合わせることにより、顧客にもっとも合った環境を提供するとした。
グローバル展開は、ヨーロッパ・アメリカ・アジア・日本の4極体制で連絡を密にとることで、高品質な製品を世界中に販売できていると語る。サポート部門においても、保守部門やナレッジを全拠点で共有・共通化したことにより、80カ国100カ所の修理窓口を持つなどグローバルなサポート体制を提供できていると説明した。
今回のスレート型PCのような端末の多様化については、タブレットやスマートフォンはビューアとしての性格が強いのではないかと指摘し、「全体を束ねる立場へシフトすることになり、むしろPCの重要度は増す」として、PCの存在感が低下するのではないかという見方を否定した。そのうえで、「タブレットによって新しいサービス提供が可能になる。富士通はそういう考えで全世界でタブレットを展開してきたし、今回の製品もWindowsベースで企業を意識し、新しい使い方で市場を拡げる商品として発表した」と語り、「PCの軸足を保ちながら、新しい市場としてタブレットに取り組んでいく」というスタンスを表明した。
マイクロソフト・インテルも高い期待を寄せる
ここで、この製品に採用されたOSおよびプロセッサーのメーカーとして、マイクロソフトとインテルからゲストが登場。日本マイクロソフト 代表執行役 社長の樋口泰行氏は、「タッチデバイスが市民権を得つつあるが、企業のニーズとして既存のソフト資産・開発環境を活かしたいというニーズからWindowsベースの製品を求める声が強い。そういう意味では、待ちに待ったデバイス」と評価し、営業部門の連携と導入の共同提案を行っていくとともに、グローバル展開においてもパートナーシップを組んでいきたいとした。またインテル 取締役 副社長の宗像義恵氏は、今回の製品が搭載する新型Atomプロセッサー"Oak Trail"を、「低消費電力と性能の向上を両立させた、小型プラットフォーム向け製品」と紹介。今回の「STYLISTIC Q550」について、インテルが推進する"コンピュート・コンティニュアム"というビジョン――デバイスが変わってもシームレスにコンテンツを利用できる環境――を実現する製品のひとつであり、インテルにとっても戦略的に重要な製品であるとした。