主人公であるグリー部のメンバーは、ハイスクールのはみ出し者、いわゆる"負け組"と呼ばれている子供たちで、いずれも個性的なキャラクターの持ち主ばかり。演じているキャストもミュージカルやアーティスト経験のある実力派ぞろいで、いつの間にかドラマ世界に引き込まれてしまう。
自己主張の強いヒロインに、マイノリティ、同性愛者、障害者……彼らに対する周囲の風当たりはハンパなく厳しく、毎回、決してキレイごとではない現実がリアルに描かれていく。特にカートが父親に自分がゲイであることを打ち明けるシーズン1の第4話は、シーズン屈指の感動エピソードだ。裏を返せば、それだけアメリカの差別意識やスクール・カースト(※学内のヒエラルキー)が深刻ということなのだが、『glee』はそれを逆手に取り、巧みなセンスで笑いや感動に昇華することに成功している。学校で毎日のようにジュースを顔にかけられようとも、周りからどんなに笑われようとも、彼らは気丈に胸を張り、前へ進んでいく。視聴者は"本当の自分"に出会うために歌い続ける彼らを賞賛し、応援せずにはいられない。……続きを読む