さてテストだが、DirectX 9世代のテストとして3DMark06、DirectX 10世代のテストとして3DMark Vantage、DirectX 11世代のテストとして3DMark 11を実施し、あわせて消費電力も測定している。なお、N460GTX HawkによるGTX 460のテスト結果については、同カードがコアクロック780MHzのオーバークロック版であることと、基板が高効率電源回路などを積んだMSI独自のものであることから、純粋にリファレンス同士の比較でない部分があるため、その分は少し差し引きして見て欲しい。

3DMark06

3DMark06では解像度の設定のみ3段階に変更して総合スコアを計測した。

数字がインフレ気味で総じて高いのだが、数値は多少ながらわかりやすい差が見える。GTX 560 Tiは、GTX 460よりは確実に性能アップしているが、まぁ当然だがGTX 570にキャッチアップできるような位置には居ない。

3DMark Vantage

3DMark Vantageでは、GPGPU関連などアーキテクチャの異なるRadeonとの比較も含むので、総合テストの3DMarks Scoreを出すのではなく、純粋にGPU比較となるGraphicsテストの結果を採用している。またここでは、プリセットの「Extreme」「High」「Performance」を利用して負荷を3段階に変えて計測した。

結果は、Radeonが少し苦戦気味という以外は3DMark06と同じ傾向で、GTX 560 TiのGTX 460比での性能アップがしっかり確認できる。

3DMark 11

今回の最後は最新3DMarkである3DMark 11だ。ここでもVantageと同じく、純粋にGPU比較となるGraphicsテストの結果を採用している。負荷の設定もプリセットを利用しているが、Vantageとは構成も変わっているので、利用したのは「Extreme」「Performance」「Entry」となる。こちらに3DMark 11の細かい情報を掲載した特集記事もあるので、参考にしていただきたい。

さて、結果は、GeForce同士の比較においては予想通りの結果で問題ないのだが、ちょっと気になるのはGTX 560 TiがHD 6870と、良く言って互角、かなり微妙な差ではあるがやや劣るという勝負になっている。DirectX 11に弱いのか、ドライバ関連などの成熟度の問題なのか、3DMark 11特有の傾向なのか原因はわからない。今後の詳細な続報記事で実ゲームタイトルのDirectX 11テストをお届けできればと思う。

消費電力

消費電力は、いつものように「ワットチェッカー」でシステム単位の消費電力を計測している。CPUの省電力機能などは有効にしたままで、素のWindows起動状態での計測だ。「アイドル」はOS起動後の何もしていない状態の数値、「3DMV GT1ピーク」と「3DMV GT2ピーク」は3DMark VantageのGT1とGT2それぞれ実行中の個別のピーク数値、「3DM11 GTピーク」は、3DMark 11のGT1/GT2/GT3/GT4実行中の全体のピーク数値を採用している。

消費電力のテスト結果では、3DMarkのスコアで着実にGTX 460を上回ったGTX 560 Tiが、しかし消費電力ではGTX 460と同等の枠内に収まっているということがわかる。さすがにHD 6870レベルとまではいかなかったが、それでもGTX 570と比べればだいぶ低く抑えられている。性能の割には、特別な電源ユニット無しに扱えるという範疇では、優秀な部類の結果ではないかと思う。

GTX 560 Ti搭載カードの価格は、米市場向け参考価格が249ドルとアナウンスされており、現行の最新ハイエンドゲームは遊びたいが、"別に競技ゲーマーとか目指しているわけではない"といった、いわゆる普通のゲーム好き自作パソコンユーザーにはバランスの良いGPUだろう。昨年のGTX 460が得た高い評価をそのまま、2011年にふさわしい性能で置き換えるというミッションは、難なくクリアしてくれそうである。