プログラミングがし易い「トレードシグナル」
――「システムトレードコンテスト」に参加する上で、どうしても、プログラミングが難しいのではないのかと腰が引けてしまう方も多いのではないでしょうか?
当社では、トレードシグナルというプラットフォームを用意しています。自社のものを誉めるのもなんですが、ツールとしての使いやすさ、プログラミングの易しさが非常に優れているんですね。市販のトレードプログラミング環境の中では、もっとも簡単だと思います。だから、トレードシグナルを採用したんですね。
大ざっぱなイメージを言うと、MSベーシックやビジュアルベーシックという初心者向けのプログラミング言語とほぼ同じ感覚です。それにプラスして、トレード関連の関数が豊富に用意されている感じです。例えば、通常のプログラミング言語であれば、移動平均を計算するには足したり割ったりというプログラムを書いてやらなければなりませんが、トレードシグナルでは移動平均という関数が用意されているので、引数を指定するだけでいいのです。
ドテン注文(現在のポジションを決済して、反対の売買をする)も、普通ならポジションを決済して、反対の売買注文を発注するという命令を書かなければなりませんが、トレードシグナルなら新規注文の命令を書くだけで、すでに反対のポジションを持っていればドテンと判断して一連の処理を行ってくれます。
――コンテストを通じて、開発者の方々から出てくる「多様な売買アイディア」とは具体的にどのようなアイディアでしょうか?
「シストレコンテスト」に参加したトレードシステムのロジックは非公開のものも多いので、どのような新しいロジックが登場してきているのかはわからないところもありますが、確実に新しいトレードの考え方が登場してきていると思います。
たとえば、10年前は、トレードシステムの開発というと、移動平均線などのテクニカル指標を組み合わせてなんとかしようという発想が主流でした。しかし、例えば、海外株式市場の値動きを見て、日本市場が開いたら、その逆の売り買いをするというトレードシステムなども登場してきました。海外市場が下がると、日本市場も下げて始まることが多いのですが、それが下がりすぎになっているので、少し戻す。この戻すところを取りにいくという手法です。いわゆるバイアスをとっていく手法で、日経225は、取引時間が決められていて、取引できない時間帯があります。その取引できない時間帯に、心理的なエネルギーが溜まっていき、どちらかの方向にバイアスが生まれてくるんだと思います。こういう、従来のテクニカル指標とはまったく違った優位性に着目したトレードシステムが続々と登場してきています。
指標の背景を読んだ「新しいシステム」が生まれるケースも
――面白いですね。私たちは、テクニカル指標を重要視しすぎなのでしょうか?
これはコンテストとは関係ないんですけど、以前、私自身が「偶数日には買って、奇数日には売る。50円でストップ。200円で利益確定」という、いい加減ともいえるトレードシステムを作ったことがあります。これは、社内で模擬売買コンテストをやったときに、社員に「こんなデタラメなトレードシステムよりは、好成績をあげなければいけない」という一種の基準として作ってみたのですが、なぜか、このトレードシステムの成績がいい(笑)。驚くほど利益が出てしまっているのです。それがたまたまなのか、裏づけになる理論があるのかはわかりませんが、テクニカル指標とはまったく別のところにも、売買アイディアはあるという例になっていると思います。
――ということは、もうテクニカル指標に頼ったトレードは古いのでしょうか?
いえ、それはまったく違います。テクニカル指標はもちろん重要です。テクニカル指標というのは、ただチャートの動きを分析しているだけではなく、チャートの動きを通じて、市場参加者の心理的な動きを見ているのだという視点でとらえれば、テクニカル指標はやはり重要です。
私たちはお墓参りに行きますけど、それは墓石を拝みに行くわけではありませんね。形としては、墓石という物体を拝んでいますけど、ほんとうは墓石を通じて、その背後にある祖先の霊や精神世界を拝んでいるわけです。それと同じことで、テクニカル指標をただのシグナルとしてしかとらえるのではなく、その背後にある市場参加者の心理まで読んでいくことが大切なのだと思います。
――売買アイディアというのは、目のつけどころがほんとうにさまざまなんですね。
そうです。ですから、できるだけたくさんの方に参加していただきたい。売買アイディアは、どこに目をつけるべきかなどという法則も決まりもありません。自由な発想で、いろいろな研究をしてみることが大切なのです。それには、トレードのベテランの方よりも、いわば"門外漢"の方や自由な発想をもった学生の方の方が、面白い発想が出てくるかもしれません。
トレードシグナルでの開発は、何らかのプログラミング経験のある人であれば、サンプルプログラムとヘルプを見ながらすぐに開発に入れると思います。難易度でいったら、エクセルのマクロを作る程度の感覚です。もちろん、当社でも開発をする人のためのセミナーを開いたり、有料の実習セミナーも開いています。ちょうど、マイコミジャーナルで「シストレでテクニカルを学ぼう」という連載を始めていますので、これを読んでいただければ、トレードシグナルの簡単さがわかっていただけると思います。
あまり難しく考えずに、幅広い方にシステムトレードコンテストにチャレンジしていただきたいと思っています。
通年での「コンテスト」開催も検討
――今後、システムトレードコンテストをどのように発展させていくご予定でしょうか?
第5回以降の詳細については、検討をしている最中ですが、コンテストの開催期間を通年にするというのはぜひやりたいですね。トレードシステムの評価は、やはり1年ぐらいの長期間で判断すべきもので、短期間では、その相場状況にたまたま合致したトレードシステムが好成績をあげてしまうこともありますから。
通年のコンテストを毎年行うわけですから、常にコンテストが開かれている状態になるわけです。そういう状態に、早くもっていきたいと考えています。
――ありがとうございました。