Xperia arcの筐体は、「弓」のように非対称の形状になっている。背面上部がやや厚く、下部がそれよりも薄く、中央やや下がもっとも薄い。最薄部は8.7mmを実現している。

端末を自然に握るとやや下の方を持つかたちになる。薄さやサイズの割に持ちやすい

本体を薄くすることで内部の部材配置は難しくなる。しかし、Xperia arcでは弓のような形状を生かし、最も厚さが必要なカメラユニットを上部に配置することで解決したという。この辺りは、デザインと設計がうまくマッチングした部分だということだろう。薄型化を実現したことで筐体の強度が心配になるが、黒住氏は「強度には絶対的な自信がある」と自信を見せる。Xperia arcでは、同社のこれまでのノウハウから、外周にデザインと一体化したフレームを入れるなどの強度対策を取ったのだという。

このほかハードウェア面では、液晶ディスプレイを改善。サイズがXperia X10の4インチから4.2インチに拡大し、液晶の空気層をなくして透過率や反射率を改善して画質を向上させている。カメラもソニー製の裏面照射型CMOSセンサーExmor R for mobileを採用し、レンズの開放F値をF2.4と他社よりも明るくした。

紙吹雪が降り注ぐTimescape

Android端末開発においてXperia X10では、「コミュニケーションとエンターテインメントをつなげることで、どういうライフスタイルを築けるか」を目指したという。それを実現する一端として作られたのが「Timescape」と「Mediascape」という2つのアプリで、Xperiaの特徴的なアプリとなっていた。

Timescapeは、ソーシャルネットワークの情報を一元化して1画面で表示してくれるアプリで、TwitterやFacebook、mixiなどの情報に加え、着信履歴やSMSなどの電話の履歴も集約して閲覧できる。「すべてのコミュニケーションが一覧できてしかも時系列で見られたら面白いのではないか」というのが開発のきっかけだったという。

Timescapeは、タイルのようなアイコンに情報が表示され、それらが連なり指の動きに合わせて滑らかに動くアニメーションが特徴だ。このデザインは、「せっかく(駆動周波数)1GHzのプロセッサを使っているので、グラフィックをバリバリ動かしたい」との考えから作成されたという。「いかに情報を自然に、整理して見せるか」というイメージをもとに開発されており、端末本体と同じHuman CurvatureからS字型のデザインを採用、さらに背景の空にあわせて「紙吹雪が降って積み重なる」というイメージも取り入れたという。

開発は、最初にビデオで動作デモを作り、その動作にあわせて作り上げていったそうだ。これまで同社は「静止画的なイメージを作って、グラフィックの性能や設計を踏まえて」UIデザインを作ってきたが、Timescapeではデザインと動作を最初に決め、それに向けて必要なものを開発していったため「設計にとっては(今まで以上に)大変だった」という。Xperia arcではOSがAndroid 2.3(Gingerbread)になったことで、開発が「格段に簡単になった」のだという。