続いて乗車したのは、過去に本誌連載『鉄道トリビア』でも紹介された、「ゆとりーとライン」の愛称を持つ名古屋ガイドウェイバス。
この路線の概要は既報の通り。同社は軌道法に基づく運輸事業者のため、鉄道の仲間に含まれるという。同社のオフィシャルサイトには、「『ゆとりーとライン』は、鉄道とバスの利点を組み合わせたシステムです」と書かれてある。
始発"駅"の大曽根は、JR中央本線と名鉄瀬戸線、地下鉄名城線が交わり、名古屋市東部のジャンクションと言える駅。連絡通路で見かける鉄道マークの横には、これらの路線とともに「ゆとりーとライン」の文字も入っていた。
とはいえ、ガイドウェイバスの駅には券売機や自動改札機があるわけでもなく、ホームに駅名標や時刻表があっても、ガイドウェイバスが発着する様子は一般的なバスターミナルと変わりない印象だった。
「ゆとりーとライン」では、専用軌道区間の終点となる小幡緑地駅まで乗車した。車内の様子はバスそのもの。ただ、交差点で止まることも、渋滞に巻き込まれることもなく、高架の専用軌道をスイスイ走るため、乗り心地はゆりかもめ(新交通システム)のようだ。
前方に目をやると、「ゆとりーとライン」の高架線が、市街地を抜けて丘陵地を上った先まで延びており、その様子はどことなく『ドラゴンボールZ』の"蛇の道"を連想させた。
大曽根駅から小幡緑地駅までの所要時間は15分程度。小幡緑地駅の北側にはモードインターチェンジがあり、ここでガイドウェイバスは一般道路を走る路線バスに"変身"して志段味(しだみ)・高蔵寺方面へ向かう。
名古屋にはこの他にも、名古屋駅と金城ふ頭駅を結ぶあおなみ線(名古屋臨海高速鉄道)や、藤が丘駅(地下鉄東山線)と八草駅(愛知環状鉄道)を結ぶ愛知高速交通「リニモ」などの高架路線が存在する。眼下に広がる風景を楽しみながら「空中散歩」の気分を味わいたいなら、一度は名古屋に立ち寄ってみるといいかもしれない。