OCW-T1000には、カシオの時計にしては珍しく"リューズ"が装備されている。これまでカシオの時計はデジタルを主流にしてきたこともあり、ケースサイドに備わったボタンを押して機能をあやつることが多かった。だが、今回のOCW-T1000は、「多機能アナログの操作性を向上させるために、あえてリューズを採用しました」と岡本さんは語る。リューズ1本でほとんどすべての基本操作が行えるという。

「カシオでは単に"リューズ"ではなく、"電子式のリューズスイッチ"と呼んでいますが、このリューズスイッチは『押す』『回す』『引く』のシンプルな3つの動作パターンを持っています。リューズを押せば、ストップウォッチやアラーム機能などのモードが切り替わり、リューズを引き出してから回すことで、ワールドタイムの都市やアラーム、タイマーなどの設定が可能になります」(岡本さん)

オシアナスロゴも刻印された、ブルーの電子式リューズスイッチ

実にシンプルでわかりやすい操作性が実現されている。勘のいい人なら、説明書を読まずとも、あらかたの基本機能は使いこなせるだろう。しかも、ワールドタイムの都市設定のような、時刻の表示を切り替えるという重大な機能操作においては、リューズを引き出すというセレクト方法が採用されている点もうれしい。「少なくともリューズが引き出されている限りは、視覚的にワールドタイムの修正状態にあることがわかりますからね」と、岡本さん。これがボタン操作だけだと、いまが修正状態にあるのかどうかもわかりづらく、そのうち間違ったボタンを押して、針の位置がまったく違った時刻を指し示してしまう……といったこともよくある話。あまり機械類に強くない人でも、OCW-T1000なら便利に使いこなせそうだ。

しかも、新しいレイアウトの5モータードライブを採用し、時・分・秒の3針を独立して動かしているため、各モードへの移行や、表示の切り替えが実にスムーズなのだという。特にワールドタイムの都市設定において、その効果は如実にあらわれるそうだ。

新レイアウトの5モータードライブにより、スムーズなモード・表示切替を実現した

「ワールドタイムの都市設定は、通常の時刻モードの状態で行います。リューズを引き出してから回転させると、秒針が文字板外周の都市コードを順に指し示していき、選択された都市の時間帯に合わせて時刻表示が切り替わります。その際、1時間ごとの時差であれば、時針だけが動けばいいのですが、これまでは時分針が連動していたため、分針までもがぐるっと1周まわってしまいました。新しい5モータードライブの場合は、時針とカレンダーだけが都市の時間帯に合わせてスムーズに変更されます」(岡本さん)

従来のように分針も一緒に回転するものだと、1時間ごとの表示の切り替えに、おおよそ6秒は費やしたという。それがOCW-T1000では、時針だけが動くため約0.3秒しかかからないそうだ。また、時分針が連動していないため、クロノグラフのリセットにおいても、針はスムーズにゼロ位置に帰零する。そのほか、電子式のリューズスイッチと進化した5モータードライブの組み合わせによる、操作性の向上は枚挙にいとまがない。この最強のコンビネーションによって、OCW-T1000は、スマートアクセスというコンセプトを文字どおりの意味で実現したのである。実際に、その使いやすさは店頭で実機を触ってみると一目瞭然だ。……カシオならではのリューズ開発とは?