エキゾチックな顔立ちとスラリと伸びた手足という抜群のルックスでモデルとしてキャリアを重ねる水原希子が、現在公開中の映画『ノルウェイの森』に出演している。演技経験の無かった彼女が、日本小説界の歴代発行部数No.1を誇る原作と、世界的名匠トラン・アン・ユン監督が組んだ大作に挑戦。松山ケンイチが演じる主人公・ワタナベ、菊地凛子が演じるその恋人・直子に続く重要なキャラクター・緑を好演している。
水原希子(みずはら きこ) |
『ノルウェイの森』は1987年に出版された村上春樹の小説が原作。ワタナベの親友で、直子のかつての恋人だったキズキ(高良健吾)が自殺したことにより、二人は心に傷を負いながら生きていた。偶然再会したワタナベと直子は同じ痛みを抱える者同士、お互いに心を寄せていくが、彼女の傷は深く、療養施設で生活することになる。そんな中、ワタナベは同じ大学に通う緑と出会い、直子とは異なる魅力を感じ始めるのだった…。
深いテーマを扱う作品の中で難解な役を演じた水原に、作品や女優業に対する思いを聞いてみた。
――まずは演技初挑戦にして大作映画に出演した率直な感想をお聞かせください。
水原「こんなに大きな映画だと思っていなかったので、ビックリしました。あまりいろいろ考えるとプレッシャーになってしまうので、お芝居に集中していたんです。ですから、実際にベネチア国際映画祭に行く時になって『えっ、わたしも行くんですか?』とか、『レッドカーペットを歩くんですか?』っていう感じでした(笑)」
――大作に出演していると実感する余裕が無いほど大変だったんですね。
水原「この作品に関わっている時間がとても長かったんですよ。特に撮影は永遠に続くんじゃないか…って思うぐらいでした(笑)。撮影が終わった後、編集作業などが続いている間は映画とは別の仕事をしていたんですけど、映画祭に行ったり取材が続いたりして、あらためてこの映画の大きさを実感しています」
――撮影に関してトラン監督からはどのような言葉を受けたんでしょうか。
水原「撮影が始まる前は、仕事が終わったら毎日のように監督に会いに行っていました。なにもかも初めてなので、分からないことだらけだったんです。今回の作品は村上春樹さんの『ノルウェイの森』ですが、映画はトラン監督の作品なので、彼が思い描く緑に近づかなきゃって考えていましたね。原作、映画共に、緑はいろいろ抱え込んでいる娘なので、役を作っていくのは難しかったです。監督とは毎回、本読みをしていたんですけど、その中で具体的な指示をたくさんいただきました。『このセリフを言う時はまずここを見ながらコップを持って、あっちに目線を映しながら次のセリフを言って…』という感じです。大変でしたけど、今になってみると細かく指示していただけたのは本当にありがたかったです。『これを言う時は、フカフカした空気の中で…』みたいな、ちょっとイメージしにくい表現も多かったんですけどね(笑)」……続きを読む