ナイフ&フォークの使い方
いよいよ料理がサーブされる。ズラッと並んだカトラリーは、外から順に使っていけばOKだ。1皿目の生ハムと洋梨コンポートをいただいた後は「活オマール海老のテリーヌと信州サーモンのマスカルポーネ包み」。とっても華やかな一皿なのだが、やわらかい信州サーモンのマスカルポーネ包みは、ナイフを入れるとグシャッと潰れてしまいそうで怖い。佐藤さんに助けを求めると、「潰れてしまうのは仕方のないことです。左側から、ひと口大ずつ切り分け、食べて行きましょう」とのこと。ちなみにリーフサラダは、頑張ってナイフ&フォークで食べなくても、フォークだけでいただいてもいい。
次は……一難去ってまた一難、「すっぽんのコンソメ 松茸入り パイ包み」。上にかぶさっているパイ生地、どうやって割っていくのがスマートなのだろうか。正解は「ナイフでスープスプーンが入る程度の大きさを開け、あとはスプーンで崩しながら」。パイ生地を中に落としこみ、スープと一緒にいただく。ナイフを入れた瞬間、中に封じ込められていた松茸の香りがふわっと立ち上る。このためにパイ生地で蓋がされているのだ。
少し順番が前後するが、前菜が提供される頃にはパンも供される。好みのものを手でとってパン皿に置き、一口ずつちぎっていただこう。バターはテーブル中央に複数名分がまとめて置いてあることが多い。バターが入っている容器を自分のパン皿のほうに持ってきて、バターナイフでとる。容器は元の場所に戻しておこう。
パンくずがどうしても散ってしまいます!
さて、バゲットなど皮がかためのパンになると、手でちぎったときに皮がテーブルに散ってしまうことが多々ある。デザートの前に食器類が片付けられ、目の前にはパンくずが散乱していて「恥ずかしい……」と思ったことのある人もいるだろう。
「パンくずが散るのは仕方のないことです」と佐藤さんから温かいお言葉。「NGなのは、自分でテーブルの下に落としてしまうことです」。そういえば筆者は、力任せにフランスパンを真っ二つに割った瞬間、クラスト(皮)部分が前に座っていた友人の皿に飛んでいったことがある。ものすごい飛距離だった。再確認。パンはひと口ずつちぎっていこう。
(撮影: 中村浩二)