秒間40コマという超高速連写とそれを利用したハイスピードムービーで、スーパースローの世界をコンパクト機で実現した「HIGH SPEED EXILIM」。その驚異的なハイスピード技術がいよいよ、今までできなかった画像表現や画質向上にも使われ始めた。デジタルカメラを次のステージへと引き上げる、「EXILIM EX-ZR10」のコアテクノロジーの秘密に迫る。
「ハイスピード処理」と「プレミアムオート」の画像処理を統合
――一般的な「オート」撮影とはひと味もふた味も違う「プレミアムオート」で新しい画像処理の可能性を見せてくれた画像処理エンジン「エクシリムエンジン5.0」が「エクシリムエンジンHS」になりましたね。どういった部分が進化したのでしょうか。
今村「最大の特長は、真の並列処理が可能になったことですね。従来製品では、ハイスピード処理部分と画像処理エンジンはまったく別のユニットになっていました。そこで、この二つの技術を完全に融合して、統合連携できる新しいエンジン、エクシリムエンジンHSを作ったのです。
もうひとつは、リコンフィギュラブル(Reconfigruable)プロセッサーの採用。これは、内部的にロジック回路のハードウェアを作り替える仕組みです。本来、ハードウェアは当然ながら結線が固定されていますよね。でも、これは中に"小人"が入っていて、結線のつなぎ替えをして回路を作り替えてくれるようなものなんです」
――その動作に時間がかかってしまいそうですが。
今村「これが従来のシステムだったら、そうでしょうね。ところが、今回のリコンフィギュラブルプロセッサーは、その組み替えに時間が掛からないように構成されています。ほんの数ミリ秒で、一瞬にして内部回路の構成をくるくると組み替えられる。ハードウェア回路をソフトのプログラムであるかのように使用できるんです。したがって、独立した2つのCPUから別々の処理を受け取り、それを必要に応じて受け渡しながら処理することができる。これが、先述の"真の並列処理"に大きく寄与しています」
――回路規模の割合からすると、かなりコストが高いシステムになりそうですね。
今村「仰る通りです。ただ、デジタルカメラを一段高い次元に持って行くためには、やはりこの技術が不可欠でした。私たちはレンズメーカーでもセンサーメーカーでもありません。したがって、デジタル技術で光学性能を凌駕しなければならない。もちろん、光学部分の研究も欠かしませんし、最善を尽くしていますが、こと画像処理エンジンや処理ノウハウに関しては注力の度合いが違う、という自負があります」……つづきを読む