考察

ということで非常にざっくりとだが評価してみた。本当ならばPhenom II X2 565の性能比較のためにAthlon II X2 265あたりを持ち込んで同時に評価すべきだったのだが、時間及び機材手配の都合で果たせなかった事をまずお詫びしておきたい。

さて、その上であらためて比較すると、Phenom II X2 565は2コアの割には一部のアプリケーションでは4コアと同等のスコアをたたき出しているし、SYSMarkなどの結果も大きく見劣りがするという程のものではない。来年後半には「Llano」(開発コード名)あたりと置き換えが予定されていることを考えると、長期間使う、という性質の製品ではないわけで、そのあたりを勘案すると価格相応の性能であり、悪い選択ではないと思う。低価格でそれなりにパワフルなCPUが欲しい、というニーズには適した選択だと思う。微妙なのは6MBのL3キャッシュがどこまで効果があるかであり、この判断にはAthlon II X2 265も持ち込んで比較してみないと正直判らない。

微妙なのがPhenom II X6 1100Tである。一応ハイエンドの座は辛うじて守りきれたが、6コアがフルに有利なのはレンダリングや一部のエンコードのみで、むしろ4コアのまま動作周波数を上げてきたPhenom II X4 970の方がゲームなどでは有利なシーンが散見される。価格差も7,000円以上(最近のPhenom II X4 970市場平均価格は16,500円程度)あり、それに見合う性能差があるか? と言われると正直苦しい。恐らくこのあたりが判っているからAMDもPhenom II X4とPhenom II X6の両方でBlack Editionを継続出荷しているのだろう。ということで、6コアを使いきれる用途のある人にはPhenom II X6 1100Tを、そうでない人にはPhenomII X4 970をお勧め、というあたりが結論になるだろう。