3つのピークが味わえる高水三山
今年始めた登山。しかし「ハマれば一直線」のB型要素が炸裂したのか、ほぼ毎週末どこかしらの山に行ってきた。少しずつ買い足してきたウェアやグッズも、ようやく一式揃った。山登りを始めた頃は登るたびに筋肉痛だったが、最近ではほとんど痛くなることもなく、「ちょっとは成長したかな」なんて自分を褒めたくもなってきた。
そろそろあそこに行ってもいいかな。
あそことは、奥多摩・高水三山である。御岳山に近い三山の総称で、高水山、岩茸石山、惣岳山を指す。どうして今までここに行っていなかったかというと、それは「何箇所か急登がある」と聞いていたからだ。怖がりの私は、周囲から「大丈夫だって、行こう行こう」と誘われても、「いや、もう少し慣れてから」とこれまでは頑なに拒んできていた。
11月中旬の某日朝、JR青梅線軍畑駅。電車からは登山者が続々と降りている。若い女性グループや年配夫婦など様々だが、行き先は皆同じのようだ。駅から30分ほどかけて舗装道を行けば、高源寺に着く。その少し手前には高水山登山道入口の看板があるので迷わずに行くことができる。
寺からさらに進むと、砂防ダムが見え、この左脇の階段をひたすら上ることになる。舗装道は途中から結構な急坂となり、階段は延々続くわで、いきなり心臓バクバク。その後は木々に囲まれたなだらかな道かと思えば、大きな石がゴロゴロ転がる足場の悪い道になったりと、かなり忙しい感じだ。しかし、途中途中には「○合目」という表示があるため、「あとちょっとだ」と心の支えになったりもする。
ロープを掴みながらの急な下り
軍畑駅を出発してから1時間ほどで1つ目の山、高水山(標高759m)に到着。いつもならホッとするところなのだが、なにしろこの日は3つも山を登らないといけない。軽く休憩してからすぐに次の岩茸石山に向かった。するといきなり現れる急な下り。ロープが張ってあるものの、体を預けすぎると不意に身体が振られることがあるので「保険程度に」と頭では分かっていても、恐怖心からロープを両手で掴んでしまう。
まずは高水山。まだまだコース前半です |
同行者に言われたのだが、これでも山登りを始めた頃に比べると随分と下りに慣れてきているようだ。しかし、なにかしら私の中で危険スイッチが入ってしまうと、急に腰が引けてしまう。その差は同行者にも分からないくらいの微々たる角度の差なのだとか。残念なことに一旦スイッチが入ると、「ヒーヒー」いいながら屈んでお尻で滑りおりる感じになり、なんとも無様だ。
変な汗かきながら高水山から下りホッとするが、「下ったってことはまた登るってことだよな」と気付き、どんより。そう、高水三山はどれも700m後半の山なので、急な下りの後にはなだらかな登りもしくは急登が待ち受けているのだ。そしてやはり、高水山から20分ほど行くと、「え、ここ行くんですか」と思わずつぶやいてしまうような急な登りが現れた。張り出した木の根に足を取られるわ、大きな石がゴロゴロ転がって不安定だわで、登りにくいことこの上ない。「大丈夫? 」との同行者の声掛けにも答える余裕なく、ただひたすら登っていく。