Vision 3Dなだけに"3D"が楽しめる

今回は評価機ということでOSがインストール済みだったが、Vision 3Dは基本的に自作キットの形で販売される。アプリケーションは別途インストールすることになるが、ASRockオリジナルのオーバークロック&ステータス監視ツール「ASRock OC Tuner」や、PCの起動を高速化する「ASRock Instant Boot」などが利用可能だ。また、GPUにGeForce GT 425Mを採用していることから、製品名のとおり3D機能が楽しめる。3D機能はNVIDIAの3D VISIONに沿った内容となる。例えば120Hz対応のディスプレイとNVIDIA 3D VISIONキットを導入すれば液晶シャッター式の、赤青メガネを用意すれば通常のディスプレイでも3Dが楽しめるわけだ。

オーバークロック&ステータス監視ツールのASRock OC Tunerが付属。コンパクトPCながらOCをすることも可能だ

PCの起動を高速化するASRock InstantBootにも対応

通常のディスプレイでも赤青メガネのアナグリフ式で3D映像やゲームを楽しむことができる

実際にアナグリフ式映像を再生させた様子。本格的に3Dが楽しみたいならば120Hzディスプレイやテレビ、アクティブシャッターに対応したNVIDIAの3D VISIONキットも同時に導入したいところ

Vision 3DはコンパクトながらCore i5 CPUやGeForce GPUに対応しているため、ネットトップPCをはるかに超えるレスポンスが得られる。リビングに置くエンタテインメント用HTPCとしては十分なパフォーマンスと言って良いだろう。ではこれをベンチマークで計測していこう。

コンパクトながら性能は十分、アップグレード可能な構成と豊富なインタフェースでさらなる強化も狙える

基本的にノートブック向けコンポーネントを採用しているため、同じような構成の据え置きノートと同程度のスコアと言える。ただ、GPU非搭載のノートブックと比べると3Dパフォーマンスは十分に高い。GeForce GTXシリーズを搭載するゲーミング用ノートブックとまではいかないまでも、3Dビデオだけでなく3Dゲームも視野に入るパフォーマンスだ。

■Windowsエクスペリエンス インデックス
プロセッサ 6.8
メモリ 5.9
グラフィックス 6.6
ゲーム用グラフィックス 6.6
プライマリハードディスク 5.9
■3DMark06
3DMarks 6748
SM2.0 Score 2832
HDR/SM3.0 Score 2529
CPU Score 2812
■3DMarkVantage
3DMarks 3693
Graphics Score 2927
CPU Score 17186
■PCMark 05
PCMarks 7951
CPU 7595
Memory 6323
Graphics 7153
HDD 6845
■PCMark Vantage
PCMarks 7897
Memories 4625
TV and Movies 4210
Gaming 6009
Music 6900
Communications 9436
Productivity 6162
HDD 5108
■Final Fantasy XI Official Benchmark 3
Low 7408
High 5899

このように、Vision 3Dのパフォーマンスはサイズ的に見て十分なものを備えている。GPUのみアップグレードは難しいところがあるが、取り扱い店舗が限られるとはいえモバイル向けCore iシリーズCPUは流通しているし、HDDをSSDに換装するといったことでさらにパフォーマンスを引き上げることが可能だろう。また、本製品を映像エンターテインメントPCとして位置づける際に重要なストレージに関しても、eSATAやUSB 3.0接続を利用して、外部接続での大容量ストレージを高速インタフェースで接続することもできる。

USB 3.0チップのうち1つがFresco Logic製で、下位互換性という面で注意したいというところはある。ただ、そうした点を除けばコンパクトPCながら高いパフォーマンス、豊富なインタフェースを備えるという面で魅力的な製品に仕上がっている。最後に価格に触れておこう。Core i5-560M CPUとBDコンボドライブを組み込んだ形で9万円半ば、さらにメモリとHDDを組み込んだモデルは10万5,000円前後といったところだ(ともにOSや3D VISIONは別売)。完全なベア状態ではない点が響いているとはいえ、本製品は比較的高価なモデルである。もちろんそのCPUやGPUがそれぞれ高性能であるから、コストパフォーマンスでは悪くないが、リビングPCを求めるユーザーのなかでもパフォーマンス志向、エンターテインメント性志向の方に向けた製品であると捉えられる。

■評価機のスペック(※製品版とは一部異なる場合あり)
CPU Intel Core i3-520M(2.4GHz)
チップセット Mobile Intel HM55 Express
メモリ DDR3 4GB(2GB×2)
HDD 500GB 2.5" SATA
光学ドライブ Blu-rayコンボドライブ
グラフィックス NVIDIA GeForce GT 425M
ネットワーク 1000BASE-T、IEEE802.11b/g/n
インタフェース,USB 2.0×5、USB 3.0×3(NEC×2、Fresco×1)、カードリーダー、HDMI、DVI、eSATA、オーディオ入出力
サイズ W200×D200×H70mm
付属品 ACアダプター、電源コード、マニュアル、MCEリモコン等