北米版「Reader」で遊んでみる
それではPRS-350(北米版)を実際に試してみたい。この機種の場合、Wi-Fiや3Gといったワイヤレス通信機能が搭載されていない上、メモリーカード類のスロットも排除されている。電子書籍などコンテンツのダウンロードはパソコンを経由して、USB接続でReader内蔵のストレージ(2GB容量)に格納してやる必要がある。電子書籍ファイルの対応フォーマットは、業界標準の「ePub」をサポートしており、テキスト系では他にもPDFやWordファイル、プレーンなtxtファイルなどはそのまま読み込むことが出来る。また、JPEG、PNG、GIF、BMPといった画像ファイルも表示可能だ。
英語のePubコンテンツを表示させてみた。ほかにもPDFやWordファイルなどはそのまま読み込むことができる |
写真ファイルの閲覧も、白黒だが意外と高精細なので、趣味の写真閲覧程度なら悪くないかもしれない |
操作はタッチパネルと本体収納できるスタイラス、または5つのハードウェアキー(ページ送りやオプションなどのボタンを備える)で行う。特にタッチパネルは反応が良好で、文章を読んでいるときのページ送りひとつをとっても、一切のひっかかりもなくとても快適だ。ほか、文章内検索など、文字入力が必要な時にはソフトウェアキーボードが呼び出せるようになっている。北米版なので英語文章と英英辞書の組み合わせになるが、文章内の単語とダブルタップしてやれば即座に辞書が呼び出せる機能もなかなか使える。
各部の写真。電源は本体上面で、下部にリセットとデータ転送/充電用のUSBポート。本体にスタイラスも内蔵している。ハードウェアキーはページ送りの進むと戻る、ホームボタン、拡大縮小の呼び出し、あとはオプションの5つ |
最新世代E-Inkディスプレイは、まずはコントラストなどが改善し視認性が上がっているのがポイントで、英語環境のみならず、試しに日本語文章を表示してみても綺麗に描画してくれており、これまで以上に紙の感覚に近い。筆者の場合は、もうひとつのポイントである応答速度の高速化の方がよりメリットを実感できた。紙の本のページをめくる感覚でサクサクとページ送りができ、拡大縮小や文章内検索も高速。従来のE-Inkの画面切り替えがストレスに感じてしまうほど、応答速度は高速化されている。
さて、新刊など欲しい本を電子書籍のストアからダウンロードして読むのが本来の主な使い方だろうが、なにぶん、日本末上陸の製品と言うことで、現状では、それはちょっと不便があったりする。日本国内でSony Readerが発売される際には、恐らく対応するソニー公式の電子書籍ストアなどのサービスも立ち上がって行くものと考えられるが、今のところは、日本でSony Readerを使おうとするのであれば、ユーザーが自分でePubファイルやPDFファイルを作成(いわゆる"自炊"と呼ばれる行為)するのが現実的だろう。
筆者のSony Readerは現在のところ青空文庫リーダーとして大車輪の活躍中。ePub変換にはNo.722氏の「ChainLP」などが使える |
ちなみに筆者は現在のところ、「青空文庫」で入手したデータを自前でePub化したり、仕事上必要な資料をPDF化したものなどを内蔵メモリに保存して閲覧する、といった用途でSony Readerを使ってみている。あとはオマケ程度だが一応手書きメモ機能が付いていたりするので、まぁ備忘録程度には役立つことがある。また、最近になってGPS付のスマートフォンを入手したので今は無用になってしまったが、訪問用にGoogle Mapの地図データを画像ファイルにして格納しておく、といった使い方もそこそこ便利に使えていた。
バッテリは1週間以上は余裕で持ち、サイズも、かばんの中で邪魔にならず、ジャケットのポケットにもすっぽり入ってしまう程度なので苦にならない。持ち歩く感覚は文庫本とほとんど同じだ。周りの視線はちょっと気になるが(笑)、読み物を大量にデータ化して格納しておけば、通勤行き帰り電車内での文庫本の代替として十分快適に利用できた。スマートフォンとの差異は、この文庫本感覚という部分だろう。これにePubの配信サービスが組み合わされば、確かにかなり使い勝手の良い端末になると思えた。国内発売が待ち遠しい製品と言えるだろう。