「デッドライジング」というゲームがある。一言でいうと"アメリカの町を舞台にゾンビと戦う"という内容のアクションゲームだ。なので、いちおうジャンルとしてはホラーということになるのだろうか。でも実際のところは、そんな単純な一言では表すことのできない、いろいろと斜め上に突き抜けたゲームなのである。

今回は、そんな"デッドラ"シリーズ最新作「デッドライジング2」のプロローグ版としてXbox LIVEで配信中のXbox 360専用『デッドライジング2:CASE 0』を紹介しつつ、デッドラの魅力について語っていこうと思う。

これだけ見るとシリアスな雰囲気が漂っているが……

B級ゾンビ映画的ゲーム、食わず嫌いでした!

そもそも、ぼくは「デッドライジング」をやる気がこれまでどうにも起きなかった。というのも、ゾンビ物は「バイオハザード」やその他のゲームでこれまでに何度もプレイしてきたし、正直お腹いっぱいだったからだ。

だから初代「デッドライジング」もスルーしたし、「デッドライジング2」も気にはなっていたものの、果たして安くないお金と少なくない時間を突っ込むだけの価値があるのか疑問に思っていた。

そこで薦められたのが『デッドライジング2:CASE 0』である。

これは「デッドライジング2」の主人公であるチャック・グリーンが、同ゲームの舞台となったフォーチュン・シティを訪れる3年前の物語だ。つまりは「デッドライジング2」のプロローグ版ということになる。

時系列的には初代デッドラの2年後であり、第2作の3年前の出来事となる

舞台となるのはアメリカの田舎町、スティルクリークだ。初代「デッドライジング」で語られたウィラメッテ事件からはすでに2年以上が経過しており、今やアメリカはゾンビパラダイスと化していた。

そんな中、ラスベガスのアウトブレイクから脱出したチャックは、愛娘と共にたまたま訪れたスティルクリークで車を盗まれてしまう。

足がなくてはゾンビであふれかえった町から出るに出られない。さらに娘のケイティーはゾンビ感染しており、これを防ぐためには抑制剤である"Zombrex"を12時間ごとに投薬しなければいけないというのである。

本作唯一の癒し要素、ケイティー

そこでチャックは町から脱出する手段を模索しつつ、Zombrexを探すために町に出ることになる。

ここまでがオープニングなのだが、さてそれじゃとりあえず行くかと、拠点となるセーフハウスから一歩外へ出たぼくは思わず目を見張ることになった。

ゾンビが、めちゃくちゃ多いのである。

これ、文章で書いてもピンとこないと思うので、実際の画面写真をご覧いただきたい。

おかしいだろこの数

……ほら! これ全部ゾンビだよ!

別にこれ、ムービーってわけじゃなくて、実際のプレイ画面でもこれくらいの数が普通に歩いている。で、こいつらがこっちに向かって一斉にじりじりと近づいてくる。これが怖い。

いや、正直言って、ゾンビ1体の強さはぜんぜんたいしたことがない。走ってくるわけでもないし、武器を使ってくるわけでもない。角材一本でもあれば、十分に打ち勝つことができるのだ。

ただし、それは敵が少数なら、の話である。

上の画像のようなゾンビの群れに突っ込むと、最初は気持ちよく戦うことができる。バッタバッタとゾンビをなぎ倒し、どんどんPP(経験値)がたまっていく。

……が、ここに罠がある。このゲームでは武器に耐久度が設定されており、使いすぎると壊れてしまうのだ。そしてゾンビの数はそんなプレイヤーをあざ笑うかのごとく膨大で、ちょっとやそっと武器を振り回した程度では焼け石に水なのである。

武器が破損してどうしようもなくなったプレイヤーを取り囲むようにして、じりじりとゾンビが歩を進めてくる。がんばって切り抜けようと拳で戦いを挑むも、知らない間に背後にゾンビが回っていて、いきなり噛みつかれてしまう。慌ててふりほどいたところに、また1匹が襲いかかってくる。そしていつの間にか押し倒され、ライフがゼロになる──この"物量に押しつぶされる"感覚はかなりの恐怖だ。

サシならゾンビなんて敵じゃないんだけど

だが、こうした"怖さ"は「デッドライジング」というゲームのほんの一面でしかない。というか、恐怖はむしろオマケ要素であるとすら言える。……次のページへ