シーバスリーガルの歴史

コリン・スコット氏がブレンドした25年がついに発売となったのだが、今回が初リリースではない。実はシーバスブラザーズ社が創立されて最初に「シーバスリーガル」の名を冠した製品が25年だった。当時のマスターブレンダーであったチャールズ・ハワード氏がブレンドし、ブレンドした原酒がすべて25年以上熟成のものだった。

1909年、当時好景気に沸いていたニューヨークに上陸するなり上流階級の間で売れに売れた。このまま造り続けられるのか、つまり市場からなくなってしまうのではないかと心配になるくらいに。だが、その心配はほどなくなくなる。1920年~1933年までの間、禁酒法が施行されたからである。禁酒法が解けた1952年、「シーバスリーガル」は再びニューヨークに上陸したが、それは25年ではなく12年であり、このことにより手軽に楽しめるブレンデッドウィスキーとして全米のみならず、世界の市場において急成長を遂げることとなるのである。

そして2007年、まずはアメリカで満を持して「シーバスリーガル25年」は再び発売された。もちろん1909年当時の商品であるわけはなく、残念ながらその当時のブレンド前の原酒もなければレシピも残っていない。

そうなると、ここからが現マスターブレンダー、コリン・スコットの出番である。「新生シーバスリーガル」のイメージを彼なりに想像を膨らませ、ブレンドする。彼がブレンドに選んだのは、最低25年熟成させた原酒たち。「最低25年」である。中には28年、ひょっとしたら30年なんてものもあるかもしれない。そしてそのほとんどがスコットランド北部のスペイサイドという地域で造られているため、その地の特徴である華やかな香りに加え、やわらかでスムース、なによりバランスがいい。

「シーバスリーガル25年」
原産国: スコットランド アルコール度数40度 容量: 700ml 市場予想価格: 3万円前後 シリアルナンバー入り
ユニークで高級感のあるゴールドとシルバーのクロス彫りストッパー。重厚なギフトボックス付き

テイスティングをしてみて

実際にテイスティングしてみたのだが、色はきらきらと輝く琥珀、25年という時を想像させる鈍色ではなく、まるでべっ甲飴のようにクリア。香りは桃のコンポートのような甘さと煎ったナッツのような香ばしさが共存している。味わいはチョコレートのようなコクとなめらかさがありながらも、ガッツリとしたパンチもある。いずれにしても上品な味わいであることは言うまでもなく、願わくば皮張りのソファにうずもれて、マダガスカル産チョコレートでも食べながらゆっくりと舌の上でいつまでもころがしていたい逸品である。

シーバスリーガルは12年、18年、25年と3種のブレンデッドウイスキーが売られているが、この3種を展開することに意味があるのだとスコット氏は言う。置かれたシチュエーションによって棲み分けができるということだ(ちなみに18年も、1997年にスコット氏が最初にブレンドしたものである)。

でも「なんで12年、18年、25年なんだ? 」と疑問は感じないだろうか。日本人にとっては、5・10・15・20……と5の倍数刻みがしっくりくるだろう。これに対し、スコットランドの人たちにとってのきりのいい数字は、6の倍数刻みか、親しみのある区切りの歳であることが多いらしい。

12は1ダースできりがいいし(6×2)、18(才)は親から鍵をもらって自分の部屋が持てる"大人"のしるし(6×3)。かつて、1953年にエリザベス女王の戴冠式の際、祝砲21発にちなんで同社の「ローヤルサルート21年」を献上したことがあるそうなのだが、この21(才)も"本当の大人"として独立する大きな節目にあたるのだそうだ。そして、25年は創業して初めての商品が「シーバルリーガル25年」であったことに他ならない。とにかく今は、この発売されたばかりの"上質の25年"をゆっくり味わう機会を持つことをおすすめする。