製品発表のトップバッターはiLife ’11。5つのアプリケーションの中からiPhoto '11、iMovie '11、GarageBand '11を紹介した。
iPhoto '11の「イベント」のフルスクリーンモード。ほかにも「人々」「撮影地」「アルバム」「プロジェクト」をフルスクリーンで表示可能 |
情報の視覚化と言えばマップ。写真の撮影地をフルスクリーンで確認 |
続いてFaceTime for Macを発表。
FaceTime発表から4カ月で、Appleは1,900万台のFaceTime搭載デバイスを出荷 |
FaceTime for Macのデモ。相手がiPhone 4やiPod touchを使っていて、相手側が縦横の向きを変えると、Mac側の表示も切り替わる |
そしてこの日のメインの話題Mac OS X Lionに移った。Lionには、「マルチタッチジェスチャー」「App Store」「アプリケーションのホームスクリーン」「フルスクリーンアプリケーション」「自動保存」「起動状態でのアプリケーションのレジューム」など、様々な機能やサービスがiOSからとり込まれる。Lionのデモ内容については「iPadの長所をXに、Appleが次期Mac OS X "Lion"をプレビュー」で詳しく紹介しているので、ここでは割愛させていただく。
Macの今後を考える上で気になるのはMac App Storeとフルスクリーンアプリケーションだ。Mac App Storeは、来年夏のLionのリリースを待たずに90日以内にSnow Leopardユーザー向けに提供開始される。1月末までにオープンさせ、来年のWWDC(初夏開催が通常)で成功例とともに同ストアのメリットを開発者に説明し、Lionが登場するタイミングでは完全に軌道に乗せていたいのだろう。
Mac App Storeはユーザーが簡単にMac用アプリケーションを発見し、入手・導入できる場になる。同時に開発者がMacユーザーに自身の製品を効率的に売りこめる場になる。対応アプリケーションの拡大がプラットフォームの成長の原動力になるのはiOSのApp Storeで証明済みだ。その効果をMacプラットフォームの拡大にも利用する。COOのTim Cook氏によると、現在Macの登録開発者数は600,000人。ひと月に30,000人増のペースで増加しているそうだ。
iLife '11のデモでもっとも細かく紹介されたのがiPhoto '11の5つのフルスクリーンモードだった。iPhoto '11は、Lionが登場するまでにフルスクリーンのメリットを開発者に伝える役割を担っていると言える。フルスクリーンではユーザーがコンテンツに集中できる。コンテンツを見せたり、読ませることが重要なアプリケーションでは、フルスクリーンを充実させる価値は大きい。ただし一度フルスクリーンモードに入ると、他のアプリケーションと行き来するのが一手間になる。Lionではジェスチャー操作でフルスクリーンアプリケーションとデスクトップ、Dashboardを簡単に切り替えられる。フルスクリーンモードの楽しさ、そしてSnow Leopardにおける不便なところがLionへの期待につながる。
フルスクリーンは画面に直接触れるタッチ操作に適している。ただしSteve Jobs氏はマルチタッチジェスチャーについて、垂直に近い角度で立っているパソコン画面に直接触れる操作は手に負担がかかるため、Magic MouseやMagic Trackpadのような平面であるべきと述べていた。フルスクリーンアプリケーションが増えるのに、画面に直接触れて操作できないというのはなんとももったいない気がする。だが、これを言葉通りに受け止め、そして勝手に深読みすると、タブレットやディスプレイを平面に使えるMacならディスプレイに直接触れるタッチ操作もあり得るということだ。