今回の提携のメリットについてShaw氏は、Skypeにとっては端末にSkypeが統合されることでモバイル環境でのユーザーをさらに拡大できることをあげている。Skypeは、端末や場所にとらわれずにサービスを利用できるようユビキタス化を進めている。そのために通信事業者と提携して端末に統合することで、より簡単にSkypeを利用できるようにすることを狙っているそうだ。実際、ベライゾンとの提携によって、モバイル環境でのSkypeユーザーが増加し、しかもユーザーにとってはSkypeがさらに使いやすくなるというメリットが生まれているのだという。

また、通信事業者は自社端末にSkypeを統合することでユーザーへ訴求できるため、Skypeだけでは難しい広告宣伝ができる点もメリットになっているという。直接的には、Skypeが使いやすくなったことでSkype Outの利用も増え、収益につながるという点もあるという。

ただ、こうした通信事業者との提携はまだ「試験的」な取り組みということで、今後さらに提携を拡大していくかどうかに関してShaw氏は明言を避けている。なお、今回の提携が国内ではKDDI限定なのか、ドコモやソフトバンクといった他社も参加できるのかといった点についても明らかにしていない。田中専務のコメントによれば、しばらくはKDDI以外から同様のサービスは出てくることはなさそうな印象だった。

Skype auを回線交換で利用すると、通常の音声通話の回線も占有してしまい、影響が出ないのか、という問いには、すでに回線交換でサービスを提供しているベライゾンでは影響は特にないとしている。さらに「KDDIはすばらしいネットワークを持っている」ので、影響は小さいとみているという。KDDIも、「回線交換方式で通常の音声が影響は受けない」との予測を示している。

また、現時点では、ほかのモバイル端末やPCのSkypeとの間の通話、ビデオ通話が可能になることを明らかにしている。それ以上の機能については検討中ということのようだ。

Skypeを利用するには、IS03に加えて、IS01向けに提供されるアプリを使う形になる。今後のAndroid端末は対応させるのがKDDI側の意向だが、現時点ではその機能の詳細は明らかになっていない。

ベライゾン向けに提供されているSkypeアプリの場合、電話の起動時にSkypeも同時起動して自動ログインし、音声電話と統合された形で簡単にSkypeサービスを利用できるようになっているという。KDDIの場合は、まだ「まだ統合の初期段階」であり、今後機能をさらに充実させ、au端末に深く統合した形で提供できるようにしていく考えだ。