――そもそもサーフィンを始めたきっかけは?
田嶋:「サーファーだった父親の影響もあり、9歳でサーフィンを始めました。父からサーフィンを教わるうちに『自分もここで生きていくんだ』という気持ちが自然に備わり、必然的にプロという道を意識するようになりましたね。同時期にサッカーも始めたのですが、サーフィンの技術が上達にするにつれ、気持ちはどんどんサーフィンに傾いていきました」
――16歳のとき、最年少でプロライセンスを取得したのですよね。
田嶋:「確かに当時は最年少記録でしたけど、今は13歳(中学2年)のプロがいますから(笑)。自分がプロになった時より今の若い選手の方が進化していると思うし、良い意味で励みになります。今は後から来る世代のためにも自分が頑張らないといけないという気持ちの方が強いですね。
プロテストは幼なじみの親友(プロサーファー・田中樹選手)と一緒に一発で合格しましたが、実はプレッシャーからテストの一ヶ月前に胃潰瘍になったんです。『これで自分の人生が変わるかもしれない』と思ったら、16歳なりにいろいろ考えすぎてしまって(笑)。でも、自宅で安静にしながら『自分にはサーフィンしかない』という結論に達しました」
――晴れてプロになってからは順調にここまで来たという感じですか。
田嶋:「いや、ホントにもう山あり谷ありでしたよ。プロデビュー戦では決勝戦まで勝ち残りましたけど、そこからはしばらくスランプが続いて下降線をたどり、19歳で初優勝して、20歳を越えたあたりからようやく成績を残せるようになりました。とはいえ、23歳くらいまでは可もなく不可もない横ばい状態がずっと続きました」
――では、田嶋さんが大きくブレイクしたきっかけは何だったのでしょう。
田嶋:「メンタル的にはほとんど変化はなかったのですが、サーフボードの改良をしたことが一番大きかったですね。ある日、先輩から借りたボードに乗ったらものすごく自分にフィットしたので、それを父親に見せて同じタイプのものを作ってもらったんです。
ただ、サーフボードは表面を加工する際に樹脂を使うので、その日の天候が大きく影響しますし、たとえ同じ形のものを作ったとしてもシェーパー(作り手)が違えばまったくの別物になってしまう非常にデリケートなものなんです。ですからあの時、自分に合ったボードが完成したことは幸運でしたね」……つづきを読む