さてATOK Padは、メモだけの機能ではない。Webとの連携も備えてある。まずはYahoo !との連携での検索([Ctrl]+[Enter])/辞書([Ctrl]+[D])/地図([Ctrl]+[P])である。ATOK Pad上のキーボード操作で是非とも覚えておきたいのは文字の選択である。Shiftキーを押しながら、カーソルを矢印キーで動かすことで、選択状態(反転状態)にすることができる。このままの状態で[Enter]キーを押すことでキーワードの検索、[Ctrl]+[D]で辞書検索、[Ctrl]+[P]で地図検索を行える。検索結果は自動的にブラウザが起動し表示する。メモが単体で1件だけであるならば、[Ctrl]+[Enter]で検索するが、改行してあっても複数のメモがあるとすべてを対象に検索されるので文字列を選択してから検索するほうが現実的である。

[Ctrl]+[Enter]では検索も即座に可能だ

[Ctrl]+[D]では辞書で検索する

たとえば、神保町の和民で18:00から飲み会であるという伝言が口頭で回ってきた。これをメモするには[Ctrl]キーを2回、[神保町 和民 18:00飲み]と入力する。そのまま、[Shift]キーと矢印キーを使って、「神保町 和民」を選択状態にし[Ctrl]+[Enter]を"タンッ"と押すとブラウザが起動し結果が表示されるので、メモと地図情報が掲載されているだろうWebサイトのURLの取得が同時完了してしまう。慣れてくると4、5秒で完了する。

飲み会の情報を[Ctrl]キーを2回たたくことで"サッ"と呼び出して、記載

そのまま、[Ctrl]+[Enter]で検索すれば、店の情報も素早くゲットできる

[ベータ3]では、EvernoteやTwitterといったWebサービスとの連携が図られているがこれもやはり便利である。ATOK Padに書き込んである文字を選択して[Ctrl]+[E]すると、EvernoteでのログインIDとPASSが求められる。ここでこれらを入力すると記載したメモがEvernoteに保存される。同様に[Ctrl]+[T]でTwitterでつぶやくことが可能になる。これらWebとの連携は[Ctrl]+[W]でメニュー表示される。[W]は当然WebのWなので、これだけを頭に入れておけば、Webとの連携はメニューを表示させてからショートカットキーを押す方法で充分事足りることであろう。

メモを[Shift]と矢印で選択状態にしておいて、[Ctrl]+[E]を押すと

Evernoteに情報を保存できる

Evernoteを各デバイスで管理している場合、それら一同で同期できることになる

Web関連との連携は[Ctrl]+[W]でメニュー確認

何故ATOKがメモアプリケーションなのか。それはATOK Padの呼び出しが[Ctrl]キーを2回素早くたたくことで済む便利さに象徴されている。このアプリケーションはショートカットからショートカットへとキーボードの操作だけですべての操作を完了させることができ、またその方が操作の完了が早いことにいやがおうにも気づかされる。ATOKが行う文字入力の変換行為自体がマウスで操作するのには適さない。"かな"で入力して同音異義語を変換する際にはスペースキーのみしか使わないのである。

プログラミングの世界においても、ほとんどのキーワードは英語がベースにあったり、日本語で文章を入力するにも変換作業が必要になったりと、コンピュータの世界では英語と比較した場合決して有利であるとは言えない状況である。ATOKはこの入力変換という2バイト言語の持つITの世界では、ある意味ハンディキャップとも言えるような膨大な作業を1985年の初代以降ひたすらに追究してきた。

英語ではストレートにPCに思考を伝えられるのに日本語ではそれが難しい。連想変換や辞書機能、ATOKダイレクトのようなWebとの連携などを見るに、それらハンディキャップを日本語の持つ特性、おぼろげではあるが、膨大な変換行為を知識に変えたり、アウトプットに表現力を与えたりするツールとして、形が見え始めてきている。ATOK Padはそれら日本語入力・変換行為を次なる次元へと導くために、ショートカットというキーボードと切り離せない概念を取り入れたアプリケーションであるといってもいいのだろう。