続いて機能面を見ていこう、まずは、ノイズキャンセル機能だ。ノイズキャンセル機能は、ホームメニューの「ノイズキャンセル」で、オン/オフと、外部入力/サイレントを選択することができる。外部入力/サイレントは、外部からの入力を、オプションのケーブル「WMC-NWR1」を使用して聴くためのモードだ。このモードを使用すると、Sシリーズをノイズキャンセリングヘッドホンとして使用することができるようになるのだが、今回は試していない。Sシリーズのノイズキャンセルは、環境の選択と、ノイズキャンセルの強さを設定できるようになっているのだが、その項目は、ホームメニューのノイズキャンセルには存在しない。それらの項目があるのは、ホームメニューの「各種設定」にある「ノイズキャンセル設定」のパートだ。環境は、「電車・バス」「航空機」「室内」の3種類、ノイズキャンセルの強さは+-15ステップで設定可能だ。
デジタルノイズキャンセリングは、アナログのノイズキャンセリングに比べて、高いノイズキャンセル効果を得られるのが特徴だ。ノイズキャンセルの仕組みは、外部のノイズと逆位相の音を加えることで、ノイズを消すというもので、これはアナログもデジタルも変わりはない。一般的なアナログノイズキャンセリングシステムでは、マイクで拾った外のノイズと逆位相のノイズをヘッドホン内に流すことで、ノイズを消している(製品によっては、ヘッドホン内部にもマイクを装備し、そこでのノイズをフィードバックすることで、さらに精度をあげているものもある)。それに対して、Sシリーズなどが採用しているデジタルノイズキャンセリングシステムでは、外部の音をマイクで拾うところまでは同じだが、拾った音をデジタル化、これを、デジタル化した音楽信号に、デジタルデータとして加え、再度アナログ化して再生という手順を採っており、これにより、高い精度を実現している。NW-S755Kで、電車・バスモードと室内モードとを、それぞれ、東急田園都市線の車内と室内で試してみたが、車内の場合、アナウンスやレールの継ぎ目などの突発音は残るが、それ以外の電車の風切音やモーターの音などは、聞こえなくなるか、まったく気にならないレベルに抑えられ、音楽を聴く邪魔にはならなくなる。室内では、PCのファンの音やエアコン、扇風機などの音が消え(1/fの扇風機でもほとんど音が聞こえなくなる)、本当に静かな空間を実現できる。また、ノイズキャンセル効果の立ち上がりの速さも特徴的だ。一般的なアナログのノイズキャンセルの場合、スイッチを入れると、まずはヘッドホンが発生するノイズが聞こえ、それから次第に外部のノイズ、ヘッドホンの発生するノイズの両方が収まっていく。それに対して、Sシリーズなどが採用しているデジタルノイズキャンセリングシステムでは、ノイズキャンセルのスイッチを入れると、即座に外部のノイズが消える。