短期トレード型『タイムマネージャー ドル円』には影響なし

ところで、MAマスター、ブレイクサーファー、ボラティリティランナーは、いずれも「順張り型」のシステムだ。他にも、逆張り型のシステム、『反転スナイパー ドル円』が、+154ポイントという利益を生みだしている。反転スナイパーは、安値を更新した直後に、直前の高値を更新すると買いポジションをもつというロジック。つまり、大底を狙おうという考え方だ。為替介入が始まった10時の時間足は、安値更新をしていて、なおかつ直前の高値も更新している。まさに反転スナイパーのパターンになっているため、過去の高値を更新したところで買いポジションを入れ、大きな利益となった。

『反転スナイパー ドル円』

ただし、際どかったことは事実で、もし為替介入が1時間早く起こっていれば、安値更新というスイッチが入らないため、ポジションを持たなかったかもしれない(さらに1分足で詳細に値動きを検討してみると、為替介入が10分早かったら、買いポジションが入らなかったと思われる)。

エコトレFXの自動売買システムは、「順張り型」「逆張り型」「短期トレード型」の3種類がある。このうちの短期トレード型は、今回の為替介入でもほとんど影響はなかった。例として、『タイムマネージャー ドル円』を見てみよう。為替介入が行われた日は、トレードそのものが行われていない。

『タイムマネージャー ドル円』

短期トレード型というのは、基本的には毎日決まった時刻にポジションを入れ、決まった時刻に決済するというもの(条件が整わなければ、トレードしない日もある)。図を見ていただければわかるように、日本時間の夕方にポジションを入れ、翌日朝方に決済をしていることがわかるだろう。

一般に、FXの相場の動きは、朝から夕方までは穏やかで、午後4時に欧州市場が開き、動きが活発になり、夜9時に米国市場が開き、朝6時まで活発な状態が続く。短期トレード型のシステムは、このような動きをうまくとらえて、欧米市場が開く前にポジションを入れ、閉じるころに決済をすることで利益を得ようとする。簡単に言えば、日本市場の動きをもとに、欧米市場の動きを予測して利益を得ようとする考え方だ。

このため、今回の日本単独の為替介入は、当然日本市場が開いている時間に行われたので、短期トレード型のシステムにとっては、関係のないことになってしまった。

「エコトレFX」は"適切なポートフォリオ"を組む能力が必要

こう見てくると、為替介入で、大きな利益を上げたシステムはいくつもあったが、そのほとんどが、ある意味ラッキーだったといえる。しかし、それで当然なのだ。為替介入のようなことはそうたびたび起こることではないし、いつ、どの程度の規模で起こるのかは、どんなに優れたトレーダーであろうとも、どんなに優秀なコンピュータープログラムであろうとも、事前に予測するのは不可能だからだ。

逆に、予測できるような為替介入であったら、公金をいくら注ぎこんでも、賢いトレーダーの餌食(えじき)になり、介入効果はすべて打ち消されてしまうことになるだろう。為替介入は、常に"サプライズ"でなければならず、そのサプライズをうまく利用できたシステムが「優秀」というわけでもないし、利用できなかったシステムが「優秀ではない」ということにはならない。

エコトレFXは、100種類近い自動売買システムが用意されていて、システムを選んでおくだけで、FXトレードが始められるという初心者でも入りやすいサービスだ。最低取引額の1万通貨を取引するのであれば、システムを一つ選ぶだけなので、話は簡単だが、5万通貨、10万通貨と取引量を増やしていくことを考えると、かなり奥の深いサービスだ。一つのシステムに10万通貨を投入するのか、あるいは10のシステムに1万通貨ずつを投入していくのか。では、その10のシステムは通貨ペアを変えるべきなのか、それとも同じ通貨ペアでシステムの順張り型、逆張り型、短期トレード型のタイプを換えるべきなのか。

「弊社では、エコトレFXユーザーの方に、お薦めポートフォリオを定期的にご案内しています。でも、このポートフォリオを作る際に、必ず議論になるのが、ポートフォリオの目的なのです」(ひまわり証券)。

例えば、短期的なパフォーマンスを重視するなら、同じ通貨ペアで異なるシステムの組み合わせというのがいいのかもしれない。今回のような為替介入というイベントがあれば、クロス円通貨ペアでは大きな利益がでるからだ。しかし、中期的な安定ということを目的にするのであれば、むしろ異なる通貨ペアを組み合わせた方がいいのかもしれない。

おそらく、多くの人が望むのは、中長期で安定して利益を積み重ねていくことができ、今回の為替介入のような大きなイベントでも利益が得られるように、通貨ペアを広くとっておきたいと考えるのではないだろうか。では、具体的にどのような組み合わせにしておくのがいいのだろうか。

こう考えていくと、エコトレFXは奥が深い。始める時は、確かに「自動売買システムを選ぶだけ」という簡単さなのだが、本格的に投資をしていこう、自分の資産形成に生かしていこうと考えだすと、腰を据えて真剣に研究していくことが必要になってくる。一般的なFXの裁量トレードをするには、市場の値動きに関するさまざまなテクニックを学ばなければならない。エコトレFXの場合は、そのようなチャートテクニックはさほど必要ない。だが、システムを評価する目、適切なポートフォリオを組む能力は必要になる。この評価する能力、ポートフォリオを企画する能力は、どのような投資をするのであっても必要になる能力だ。簡単に始められて奥が深いエコトレFXは、FXの入門としても適しているが、投資の入門、資産形成の入門としても適しているといえるのではないだろうか。