「エフセキュア インターネット セキュリティ 2011」の概要
コンピュータを取り囲む環境は牧歌的な時代を通り過ぎ、魑魅魍魎(ちみもうりょう)が跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ:悪人などが権勢をほしいままにして、わがままにのさばる)する時代となってしまった。善良な衣をまといながらもスパイウェアが仕込まれているソフトウェア、ウイルスの感染を試みようとするWebサイトや電子メール、突如襲ってくる脆弱性を狙ったポートアタックなど、インターネットは危険に満ちあふれている。従来のウイルスとは異なり、ここ数年のウイルスや脆弱性を狙った攻撃の特徴として、金銭的な被害や個人情報の搾取など実質的な被害が増加している。
もちろんOS側も数多くの防御機能を備えるようになったが、万全とは言い難く、マルウェア(悪意を持ったソフトウェアやスクリプトの総称)はわずかに空いた穴を狙って攻撃を試みるだろう。そのため現在は、自己防衛に必要なセキュリティ対策ソフトの導入が絶対的に必要な作業となるのだ。このような背景を元に数多くのセキュリティソフト対策ソフトがリリースされている。そのなかでも注目して欲しいのが、フィンランド産のセキュリティ対策ソフト「エフセキュア インターネット セキュリティ 2011」だ。
エフセキュアは、元々エンタープライズ向けセキュリティ製品を数多くリリースしてきたソフトウェアベンダー。そのエンタープライズ市場で培ってきた技術をコンシューマ市場にも投入し、多くのユーザから信頼を博してきた。コンシューマ向け製品の主軸である「エフセキュア インターネット セキュリティ」シリーズもバージョンアップを重ね、今回リリースされた同2011は2006年にリリースされた最初の製品から数えて6代目。製品としても円熟味を帯びてきた頃だ。
「エフセキュア インターネット セキュリティ 2011」 |
「エフセキュア インターネット セキュリティ 2011」では、サンドボックスと呼ばれる仮想環境とクラウド上のデータベースを活用しゼロディ攻撃を防ぐ「エフセキュア ディープガード」やサードパーティーのアプリケーションの脆弱性を突く攻撃に対しても迅速に対応できる「脆弱性シールド」なども搭載しているほか、ファイアーウォール、スパムメール対策などのセキュリティ対策に加えて、子供や青少年のブラウジングに対する制限が可能なペアレンタルコントロールやWebメール、検索エンジンの結果を含むWebからの脅威への防波堤も備えている。
また、ウイルスのパターンファイルのみならず迷惑メール対策やブラウザ保護、有害サイトブロックのパターンファイルもクラウド化が図られており、PCへの負荷が軽減されており、AV-Comparatives.orgが行うパフォーマンステストでAdvanced+を獲得するなど、快適なPC操作を遮らない。最新版となる本バージョンでは、セキュリティ対策に自信の無いユーザでもタスクに迷わないようにユーザインタフェースが工夫されており、不可避な場合を除きダイアログを表示させない、難解な用語や表現をさけるなどのユーザビリティの向上もユーザサイドに立った配慮になるだろう。
Windows XPやVista、Windows 7で動作するセキュリティ対策ソフト「エフセキュア インターネット セキュリティ 2011」は、1年/3年版から1台/3台版と幅広く用意されているが「エフセキュア インターネット セキュリティ 2011」パッケージ版1年3台版の価格が5,480円となる。詳細は同社の公式サイトをご覧頂きたい。30日間無償使用可能な無料評価版が用意されているので、今回はこの評価版を使って同製品の導入や使いこなしテクニックを紹介してみよう。
「エフセキュア インターネット セキュリティ 2011」体験版のダウンロードとインストール
「エフセキュア インターネット セキュリティ 2011」のダウンロードは、個人名や電子メールアドレスの登録を行なうと送信される電子メールから実行する。入力する情報が最小限で済むのは良心的だ(図01~02)。
図01 無料評価版のダウンロードページにアクセスし、フォームに正しい情報を入力してダウンロードページ情報の電子メールを受信する |
まずはダウンロードしたファイルをダブルクリックし、セットアッププログラムを起動。同プログラムは一般的なセットアップ作業と同じくウィザード形式で進めていく。ここで行なう作業は簡単ながらも読者が混乱しかねないのが、使用オプションの設定。同ダイアログでは「F-Secureインターネット セキュリティ 2011」と「エフセキュア アンチウイルス2011」の2種類から製品を選択できるが、前者を「導入しようとダウンロードしているのに?」と首を傾げてしまうことだろう。
「エフセキュア アンチウイルス2011」は、ウイルス対策に限定したセキュリティ対策ソフトであり、「エフセキュア インターネット セキュリティ 2011」と比較すると、ファイアウォール機能やWebブラウザの保護、ペアレンタルコントロール機能が取り除かれており、同実行ファイルには両者が含まれている。そのため、総合的なセキュリティ対策を求める今回の例では、「エフセキュア インターネット セキュリティ 2011」を選択すればよい(図03~08)
図07 更新情報のダウンロードを経て、インストール方式の選択をうながされる。通常は<自動インストール>が選択された状態で<次へ>ボタンをクリック。これで「F-Secureインターネット セキュリティ 2011」の導入が行なわれる |
「エフセキュア インターネット セキュリティ 2011」の導入を終えると、子どもらがWebページへアクセスする際のコンテンツ制限などを行なう、ペアレンタルコントロールの設定を求められる。もちろん不要であれば省略してもよいが、最近では家族でコンピュータを共用することも多いため、ここで設定しておくといいだろう。
最初に選択するのがWebブラウジングモードの選択。許可されたWebサイトにのみアクセスできる「チャイルドのみ」、禁止されたWebサイトへのアクセスをブロックする「ティーンエイジャのみ」、両者ブラウジングモードを兼ね合わせた「チャイルドおよびティーンエイジャ」から選択する。個別にアクセス許可を行なうのは煩雑な作業となるため、初期状態で選択されている「ティーンエイジャのみ」がお勧めだ。
このほかにも、Webブラウジングできる最大時間や時間帯の設定、アクセスブロックを行なうコンテンツの取捨選択、ペアレンタルモードに切り替えるためのパスワードに関する設定を求められる。ちなみに、ここで設定したパスワードは後述する「エフセキュア アンチウイルス2011」の設定画面を呼び出す際にも必要となる。ペアレンタルコントロール機能とトレードオフとして選択して欲しい。
ご覧のとおり設定項目が若干多いため冗長的な作業となるが、何度も行なう設定ではないので、ここで確実に設定し終えれば、後から楽になるはずだ(図09~16)。
最後に「エフセキュア インターネット セキュリティ 2011」を構成するコンポーネントファイルやウイルス定義ファイルの更新をインターネット経由で実行し、自動的に適用される。この手のセキュリティ対策ソフトとしては珍しく、OSの再起動を求められないため、前段の作業を終えれば導入完了だ(図17)。