NVIDIAが考えるパーソナルコンピュータの未来の形
フアン氏は、かねてからiPadに代表されるようなタブレット型情報端末機器が、携帯型コンピュータの主流になるという論調を強く主張してきている。
今回のインタビューでも、フアン氏らしい切り口の意見と未来予測が述べられた。
フアン氏「現在のノート型PC(ラップトップPC)は、コンピュータの実体がキーボード側の底面にに実装されている形態だ。これはコンピュータのシステム基板自体の熱容量的な制約でこうなっている。いずれ、プロセスの微細化などが進めば、コンピュータのシステムの実体はディスプレイパネル側に問題なく収まることだろう。そう、タブレットだ。タブレットはノートPCに置き換わることだろう。というよりもタブレットは周辺機器のようなものにドッキングすることでノートPCにもデスクトップPCにも生まれ変わることになるはずだ。自分は5年後には現在の形態のノートPCはなくなってしまうのではないかと思っている。3年後はそうでもないだろうが、5年後はパーソナルコンピュータの基本形態が、タブレットPCを基本としたデザインになると思っている。だからこそ、Tegraが重要になってくる」
Tegraベースのパーソナルコンピュータがこの世を席巻する……これは突飛だとしても、現在のx86ベースのデスクトップPCを、性能に妥協する形で小型化した現在のノートPCが、x86の呪縛から解き放たれ、それはタブレットの形に収束するはずだ……というフアン氏の予見は、それほど突飛ではない。現在のiPadの急成長ぶりを見れば、むしろ順当な未来予想図だといってもいいかもしれない。
フアン氏「かつて、ソフトウェアは既存バイナリを実行できることが最も再重要視された。店頭で買ったディスクに収録されたソフトを長きにわたって使えること……これが最も重視されたのだ。しかし、時代は変わったではないか。ソフトウェアによって生み出されるデータの普遍性と重要性は今も変わらないが、ソフトウェアはx86バイナリに囚われない時代になってきている。ソフトウェアはどこからやってくるか……それはクラウドから、ネットからだ。だからこそ、我々は、これからのコンピューティングの基盤を支えるクラウドを重要視している。我々のTesla、CUDAがIBM、HP、DELLといった最大手クラウドプロバイダが提供するクラウドシステムに採用されたことは非常に大きな成果だと思っている」
Tegraを各ユーザーの手元に。そしてTeslaをクラウドに。これがNVIDIAの考える将来のコンピューティングワールドの未来予想図のようだ。
NVIDIAはこれからGeForceビジネスに置いていた軸足を、徐々にTegra、Teslaにシフトし始めているのかも知れない。
(トライゼット西川善司)