歴史的資料の貸本マンガから当世萌え絵作品まで
同館は閲覧室のある2階の奥半分と3、4階が書庫となっている。書庫を案内してもらうと、そこは辛うじて人がカニ歩きできるだけのスペースを残し、すべてが本という超絶空間だった。書架のキャパシティに対して300%は詰め込まれていそうだ。その中で、きちんと背を向けて並べられているのが、現代マンガ図書館自慢の貸本マンガ時代のコレクションだ。
「ゲゲゲの女房」に登場する"乾さん"のモデルとなった桜井昌一氏の自伝的エッセイ(桜井氏も設立に協力している) |
アニメ作品の脚本。目に付いただけでも「あしたのジョー2」「さよなら銀河鉄道999」「天空の城ラピュタ」など |
貸本などの古い本(1970年以前)を閲覧するには、「現代マンガ図書館友の会」に入会する必要がある。それ以降のものに限っても、40代以下の人なら子供の頃に読んだ多くの作品と出会えるはずだ。
マンガ図書館が在り続けるということ
「現代マンガ図書館 - 内記コレクション」の利用者には、気軽に好きなマンガを読んでいく人、昔懐かしいマンガを探しにくる人、そしてマンガやサブカルチャーの研究者などが多い。短時間で大量に読むならマンガ喫茶、近年の作品を入手するなら古本屋が手軽だが、あえてこのマンガ図書館に来るのは、余所では得られない価値があるからだ。貴重なコレクションを大量に保有しているだけあって「売って欲しい」と頼まれることも度々あるが、内記氏は「売らないからあるんですよ」と"図書館"であることの意義を強調する。誰かに売ってしまえば、次に探しに来た人はそれを見ることができなくなってしまうのだ。
貴重なコレクションを持っていたとしても、それを資料として整備・公開し、さらに維持し続けることは、ただ『好き』という思いだけでは不可能だ。内記氏がマンガを語るとき、それは作家・作品や関係者、歴史をも含めたひとつの「文化」であり、その根底には氏のマンガへの思いと造詣の深さ、そして「文化」を尊重する真摯な姿勢がある。内記氏の人柄と、それを慕う人々の力があればこそ実現した、現代マンガ文化の結晶がこの図書館なのだ。
内記氏は、現在明治大学において2014年開設を目指し準備が進められている「東京国際マンガ図書館」にも協力しており、50年以上にわたり氏が育ててきたコレクションも開設後にそちらへ移設されることとなっている。マンガ好きを自負する人なら、その前にぜひ一度この濃密な空間を味わいに訪れてほしい。
利用案内 : 現代マンガ図書館 - 内記コレクション
東京都新宿区早稲田鶴巻町565 ビルデンスナイキ2階 | |
03-3203-6523 | |
12時~19時 | |
火曜日・金曜日・年末年始 | |
入館料:300円(中学生以下200円)、閲覧料:1冊100円、 現代マンガ図書館友の会 年会費……一般会員:6,000円、賛助会員:10,000円/一口 |
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閲覧の際は「閲覧申し込み書」に書名などを記入して受付へ提出。会員になれば入館料が無料、また1970年以前の本の閲覧が可能となる。賛助会員はこれに加え書庫の見学ができる。なお、法人が商用の資料などとして利用する際は賛助会員3口以上での入会が必要となっている | |
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