バライエティでの家電に対する博識ぶりから"家電俳優"としても人気を集めている俳優の細川茂樹さん。9月30日には小説『それでも僕は結婚したい』(講談社)を刊行した。

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主人公は家電量販店に勤めるイマドキ男子。草食系を超えた植物系男子であり、自分から何事もアプローチしないインドア"家電オタ"である。そんな主人公に、ある転機が訪れる。付き合って3年の彼女から結婚を迫られたのだ。付き合いも彼女に迫られ、なんとはなしに付き合いだした主人公にとって、彼女との結婚話はまさに青天の霹靂。1週間後に結論を出すと彼女に伝え、主人公は結婚の理想と現実に直面することになる―。

結婚の理想と現実に迫る内容的には"ヘビー"な話…のはずなのだが、細川さん珠玉の家電トリビアが、ポップで軽快な口調で進むストーリー展開に織り交ぜられ、『結婚なんてしたくない』『結婚なんてまだ先の話』と結婚に対して身構えがちな若者にも、"ライトに読める結婚バイブル"仕立てとなっている。

細川さんが小説を書いた背景には、映画製作の構想があった。「知り合いのプロデューサーに『映画を撮りませんか』といわれて、もし撮るなら脚本も書いてと言われたところから始まったんです」。構想自体は2年前からあり、小説を書くときにはすでに映画の構想がすでに固まっていた。「どんな俳優で撮影場所はどこで……とすでに決まっていましたから、小説は書きやすかったですね」。

映画のテーマになぜ"結婚"を選んだのか。これも、映画製作を想定したことでおのずと決まったそうだ。「"男でも女でも観られるような映画"がいいなと思っていて、いくつか題材はあったんですけど、自分が撮っていて、あるいは書いていて面白いというのはなんだろうと考えるうちに、結婚のことを書いてみようかなと思ったんです。なんで(自分は)結婚しないのかなとぶち当たりまして」

細川さん自身は現在独身だが、周囲には結婚経験者がたくさんいて、取材にはことかかなかったそう。そして、調べれば調べるほど、結婚を考えるならその対極にある離婚を考えざるを得ないことに気付いた。「人が結婚する理由がいくつかあるように、離婚にもさまざまな理由があるんですね。小説でも書きましたが日本では44秒に1組が結婚していますが、一方で2分に1組が離婚しているんです。離婚は珍しいことではないのに情報がないなと思っていて、それが小説の原点になりました」。

結婚バイブルと前述したが、実際読んでみると離婚に関する情報の多さに気付く。主人公に対して『結婚のプロ』集団が最初に教えるのは離婚の現実。結婚に期待を抱くこともできず、主人公は結婚が"リアルな現実"であることを突き付けられるのだ。