Research In Motion (RIM)初のタブレット「BlackBerry PlayBook」を発表したDEVCON 2010の基調講演において、Mike Lazaridis氏(社長兼共同CEO)は「Day 1から」という言葉を何度も繰り返した。
同社は10年以上前から企業のCIOの意見を聞き、その声をBlackBerryソリューションの開発に反映してきた。プロフェッショナルレベルのセキュリティやITポリシー運用、中央集中型の管理、既存のビジネス環境(Exchange、Notesなど)との互換性、シームレスなサービス統合、手にフィットしポケットに収まるコンパクトサイズ、大量の電子メールに難なく対処できる操作性などなどだ。企業ユーザーが抱える問題を最初(Day 1)から念頭に置いて製品を開発し、完成した製品はリリース日(Day 1)からユーザーのソリューションになる。BlackBerryスマートフォンに対しては保守的で面白みに欠けるという声が少なからず存在するが、それはユーザーにとって必要かどうか分からない新機能を投入するのではなく、"Day 1から使える製品"として完成させることを優先した結果と言える。
そうしたCIOとの意見交換で1~2年前からBlackBerryのパワーアップが求められ始めた。具体的には、より大きなスクリーン、ビジネスドキュメント/画像/ビデオのPC同様の表示、Flash技術を含むフルWeb対応などだ。その上でBlackBerryのサーバテクノロジと互換があり、BlackBerryに求められるエンタープライズ機能を提供するデバイスを形にしたのがPlayBookだという。
Lazaridis氏がまず「快適にホールドできる」というサイズとデザインをアピールした。130×193×10ミリで、重さは400グラム。PlayBookは移動しながら常に情報にアクセスするビジネスマンを想定し、片手で持って片手で操作するサイズにまとめた。そうしたモバイルデバイスを必要とするユーザーなら「持った瞬間に"これだ!"と実感できるはずだ」と述べた。
片手で持って操作するモバイルデバイスという点で、AppleのiPadとは狙いが異なる |
PlayBook発表後、Mike Lazaridis氏はPlayBookを片手に持ち続けながら、その後の講演を続けた |
PlayBookは、Day 1から企業のBlackBerryソリューションに組み込める。250,000台以上が導入されているBlackBerry Enterprise Serverに対応。BlackBerryスマートフォン同様にエンタープライズクラスの高度なセキュリティを備える。セキュアなBluetooth接続でBlackBerryスマートフォンとペアリングし、スマートフォン内のコンテンツをより大きな画面のPlayBookに表示可能。また、ペアリングを通じてBlackBerryスマートフォンの3G回線を共有できる。「ソフトウエアの追加、新たなセキュリティやアドミニストレーション、データプランの追加……そうしたものは一切必要ない」とLazaridis氏。企業のIT管理を混乱させることなく、タブレットという新たなデバイスを追加できる。
PlayBookの機能をひと通り紹介したところで、QNX Software Systemsの共同創設者であり、BlackBerry Tablet OSの生みの親であるDan Dodge氏が登場した。Tablet OSの土台となっているQNXはマイクロカーネルアーキテクチャをベースに、安定性とセキュリティ、マルチコア化やSymmetric Multi-Processing(SMP)などをDay 1から考えて構築された「future-proofなOSだ」という。アダプティブパーティショニングが安全な区画を構築してシステムを保護し、使用度の低いパーティションから追加の処理時間が必要なパーティションへとダイナミックにCPUサイクルを割り当てることで最適なパフォーマンスを引き出す。これが効率的なマルチタスキングを実現するという。POSIX認定を受けており、LinuxやOS Xなどにも見られるシステムAPIを共有し、重要なオープンソースプロジェクトの成果が反映される。ほかにも情報セキュリティ国際評価基準の保証レベル4+(EAL4+)、安全度水準SIL3を取得している。